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既判力とは、確定判決の効力を指し

 既判力とは、確定判決の効力を指し、確定した判決の内容が、訴訟当事者や裁判所を拘束し、それに反する主張や判断ができなくなる力のことを意味します。

 

 具体的には、裁判が一度確定すると、その判決で争われた事柄を再び蒸し返すことはできなくなり、裁判所もその判決に従わなければなりません。

 仮に後で事実が異なることが発見されたとしても、当事者はその事柄について再度争うことができないのが特徴です。

 

「既判力の特徴」

  • 確定判決の拘束力

 一度確定した判決に含まれる事項については、当事者も裁判所もその判断に拘束されます。

  • 蒸し返しの禁止

 確定後には、新たな事実が発見されてもその事柄を再び主張したり、裁判所が判断を覆したりすることはできません。これを「既判力による遮断効」と呼びます。

  • 既判力が及ぶ範囲

 既判力が及ぶのは、主に確定判決の主文に含まれる事項です。

 判決理由中の判断には基本的に既判力は及びません。

 ただし、相殺の抗弁に関する判断には例外的に既判力が及ぶことがあります。

  • 既判力の発生時期

 既判力が生じるのは、事実審の口頭弁論が終結した時点です。

 それ以前に主張できた事項については、判決確定後に主張することはできません。

  • 相殺の抗弁に関する例外

 通常、既判力は主文に限られますが、相殺に関しては例外があります。

 具体的には、相殺の主張が受け入れられた場合、その主張に関連した判断にも既判力が及びます。

 ただし、相殺が適切に判断された場合に限り、相殺不適や遅れた主張として却下された場合には、既判力は及びません。

 

 結論

 既判力は裁判制度の安定性を保つために重要な効力で、一度確定した事柄については再度争うことができなくなり、確定判決の最終性を担保します。