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強制競売の手続きは

 強制競売の手続きは、債権者が債務者の不動産を競売にかけ、得られた代金で債務の弁済を行うことを目的としています。

 この手続きは、以下のステップで進行します。

 

1. 強制競売の申立て

 債権者は強制競売を求める書面を裁判所に提出します。

 これは、強制執行の申立てとして行われ、書面での申立てが必須です。

 

2. 執行裁判所による開始決定

 執行裁判所は、強制競売を開始する決定を行い、この開始決定により、不動産を差し押さえる旨を宣言します。

 

3. 差押えの登記

 裁判所書記官が、差押えの登記を法務局に嘱託し、登記が完了すると差押えの効力が生じます。

 差押えの効力は、決定の送達または登記が完了した時点で発生します。

 

4. 配当要求の公告および催告

 裁判所書記官は、配当要求の終期を定め、その旨を公告します。

 また、差押えの登記前に登記された債権者や官庁に対し、債権の存在やその内容について届出を求めます。

 

5. 現況調査・評価

 執行裁判所は、評価人を選任し、不動産の価値を評価させます。

 この評価に基づいて、不動産の売却基準価額が決定されます。

 

6. 物件明細書の作成

 裁判所書記官が物件明細書を作成し、不動産の詳細情報や売却により消滅しない権利などが記載されます。

 

7. 不動産の売却

 不動産の売却は、入札または競り売りの方法で行われます。執行官がこれを担当し、売却が実施されます。

 

8. 売却決定期日

 執行裁判所が売却決定期日を開き、売却の許可または不許可を言い渡します。

 

9. 買受人の代金納付・所有権の取得

 売却許可決定が確定すると、買受人は代金を執行裁判所に納付し、代金納付と同時に所有権を取得します。

 

10. 登記の嘱託

 裁判所書記官が、買受人の所有権移転登記および差押えの登記など、関係する登記の嘱託を行います。

 

11. 売却代金の配当

 執行裁判所は、売却代金を配当表に基づいて債権者に配当します。

 

【強制競売のポイント】

 債務者の権利保護: 差押えの効力が発生しても、債務者は通常の用法で不動産を使用・収益することが可能です。

 債権者の配当要求: 配当要求の終期までに届出をしないと、配当に参加できない場合があります。

 

 売却基準価額の決定: 不動産の売却価額は、執行裁判所が評価人の意見をもとに決定します。

 強制競売は、債務者の財産を売却し、債権者の債権を回収するための重要な手続きであり、適正な評価と手続きが求められます。