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動産執行についての重要なポイント

 動産執行は、債務者の所有する動産を差し押さえ、これを競売などで換価し、得られた売得金を債権者の債権満足に充てる強制執行の一種です。

 動産執行についての重要なポイントを以下にまとめます。

 

1. 動産執行の対象

 動産執行の対象は以下の通りです:

  • 民法上の動産:

 物理的に移動できるもの(例:家具、家電、車両など)。

  • 記することができない土地の定着物:

 土地に恒久的に設置されていない、取り外し可能なもの(例:建設機械など)。

  • 土地から分離する前の天然果実:

 収穫前の作物で、一月以内に収穫が見込まれるもの。

  • 裏書の禁止されていない有価証券:

 手形、小切手、株券などの有価証券。ただし、裏書禁止の有価証券は対象外。

 

2. 差押えの手続き

  • 申立書の記載:

 差押えるべき動産の所在場所を具体的に記載する必要がありますが、動産を個別に特定(例:テレビ、時計など)する必要はありません。

 執行官は、申立書に記載された場所に赴き、差押物を特定します。

  • 執行官の役割:

 執行官は、債務者の住居や事務所に立ち入ることができ、必要に応じて強制力を用います。

 差押えた動産は、執行官が保管を認めた場合、債務者に保管させることも可能です。

 その際、封印など差押えの表示を行います。

 

3. 配当要求と権利主張

  • 配当要求:

 先取特権や質権を有する債権者は、権利を証する文書を提出して配当要求を行います。

 差押債権者および配当要求を行った債権者が配当を受けられます。

 

4. 動産執行の制約

  • 二重差押えの禁止:

 執行官は、一度差し押さえた動産を再度差し押さえることができません。

  • 超過差押えの禁止:

 動産の差押えは、差押債権者の債権額および執行費用に見合う範囲内で行わなければなりません。  

 必要以上の差押えは認められません。

 

5. 売却と取消し

  • 売却の実施:

 差押えた動産が売却されても、売却の見込みがない場合には、執行官は差押えを取り消すことができます。

 

 動産執行は、不動産競売とは異なり、比較的迅速に行われることが多いですが、債務者の生活に直結するため、執行官の判断が重要です。

 

 法律の定める手続きや禁止事項を遵守しなければならず、特に二重差押えや超過差押えは法令に違反するため注意が必要です。