現金で資産を保有するよりも、不動産を購入して保有する方が、相続税対策として非常に有効です。
現金のままだと評価を減らすことができず、税務調査でも把握されやすい一方で、不動産に転換するとその評価額が減額され、節税効果を得られます。
以下はその理由と効果の具体例です。
1. 現金は節税効果が低い
- 現金は評価額を減らせない:
現金はそのまま相続財産として計上され、評価を下げることができません。
家族に移動したとしても、税務調査で明らかになるリスクがあります。
- 預金は税務調査で把握されやすい:
亡くなった人の預金から家族の口座に移動したお金は調査対象となりやすく、隠すことも難しいです。
2. 不動産は評価が下がる
- 不動産の評価は現金よりも低い:
土地や建物の評価は現金と比べて大幅に低くなります。
不動産は時価の2~3割程度評価が下がり、特に賃貸不動産の場合、その効果がより顕著です。
- 路線価と評価の関係:
路線価は時価の約80%で評価されます。
土地の評価額は公示価格(時価)を基準にして計算されるため、現金と比較して評価額が下がります。
3. 具体例:
1億円の現金で賃貸マンションを購入した場合
- 建物:
購入した建物が5000万円だとします。
建物の相続税評価額は購入価額の30%で固定資産税評価額が決まり、さらに賃貸として運用すると「貸家」とみなされ、借家権割合の控除が適用されます。
- 計算例:
5000万 × 30% = 1500万 → 1500万 × 70% = 1050万
- 土地:
土地が5000万円の場合、路線価で80%に評価され、賃貸にすることで「貸家建付地」として借地権割合や借家権割合の控除が適用されます。
- 計算例:
5000万 × 80% = 4000万 → 4000万 × (1 − (0.6 × 0.3)) = 3280万
- 相続税評価額の合計:
建物と土地の相続税評価額は、建物1050万円と土地3280万円で、合計4330万円となります。
現金1億円から物件購入で発生する評価額との差し引きで5670万円の節税効果が得られます。
4. 節税効果の理由
- 不動産の評価減:
現金であれば1億円がそのまま相続財産として課税対象になりますが、不動産に変えることで、評価額が大きく減少します。
- 賃貸不動産の控除:
賃貸不動産では「貸家建付地」や「貸家」として控除が適用され、さらに評価額が下がります。
5. 不動産の購入を検討する際の注意点
- 立地や収益性の考慮:
賃貸不動産の運用を考える場合、単に相続税の節税だけでなく、長期的に収益を上げられるかどうかも重要なポイントです。
適正な立地や需要のある物件を選ぶことが成功の鍵です。
不動産を活用することで、現金をそのまま保有するよりも大幅に評価額を下げ、節税効果を得ることができます。
賃貸用不動産の購入は、相続税対策として非常に効果的な手段の一つです。
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