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現金を建物に替えることで節税を図る方

 現金を建物に替えることで節税を図る方法は、固定資産税評価額の低さを利用するものです。

 以下に、その仕組みと効果を説明します。

 

1. 建物の固定資産税評価額は建築費より低くなる

  • 固定資産税評価額とは:

 建物の評価は、市町村(東京都23区の場合は都税事務所)が固定資産税評価基準に基づいて算定し、実際にかかった建築費よりも低くなります。

  • 評価の目安:

 固定資産税評価額は、建築費の約50~70%程度になることが多く、実際には建築費の半分以下になるケースもあります。

 土地の評価額は、時価(公示価格)の60~70%程度が一般的です。

 

2. 親の現金で親名義の建物を建てると節税になる

  • 親の現金を活用する理由:

 親が現金を所有している場合、現金のまま相続するとその全額が課税対象となります。

 しかし、親名義で建物を建てると、固定資産税評価額での評価となり、実際の建築費用よりも低い額で評価されるため、相続財産の総額が減少し、節税効果が生まれます。

  • 子ども名義では節税効果がない:

 二世帯住宅などを建てる際、子ども名義にすると節税効果がなくなり、親の土地も「使用貸借」とされ、土地の評価が下がりません。

 

3. 賃貸住宅を建てるとさらに評価額は70%になる

貸家としての評価減:

 賃貸住宅を建てる場合、建物は「貸家」として評価され、借家権割合(30%)が控除されます。

 したがって、建物の固定資産税評価額は70%として計算されます。

 例:

 固定資産税評価額が2000万円の建物なら、借家権割合を控除することで、評価額は1400万円に下がります。

 

4. 現金で支払うことでさらに節税効果が高まる

  • 借入ではなく現金で支払う:

 賃貸住宅を建設する際、借入ではなく現金で支払うことで、建物の評価が固定資産税評価額で計算され、さらに借家権の控除が適用されます。

 これにより、建築費の半分以下で評価され、大きな節税効果を得られます。

 

5. 節税の具体的効果

  • 固定資産税評価の適用:

 建築費が5000万円の建物を現金で建てた場合、固定資産税評価額は2500万~3500万円に下がります。

  • 貸家評価の適用:

 さらに賃貸に出すことで、借家権割合30%を控除すると、評価額は1750万~2450万円となり、建築費の半分以下の評価額となります。

 

結論

 現金を建物に替えることで、相続時の評価額が固定資産税評価額となり、建築費よりも大幅に低く評価されるため、節税効果が高くなります。

 特に、賃貸住宅として活用することでさらに評価額が下がり、現金のまま相続するよりも大きな節税効果を得られます。