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登記識別情報と登記済証

 「登記識別情報」と「登記済証」についてです。

 

1. 登記識別情報とは

 登記識別情報は、オンライン化された現在の不動産登記制度において、従来の「権利証(登記済証)」と同様に、所有者や権利者であることを証明するための情報です。

 具体的には、パスワードの形で登記所から通知され、次のような役割を果たします。

  • 不動産の処分時の確認

 不動産を売却したり、抵当権を設定する際に、自分が登記名義人であることを証明するために使用します。

 以前は紙の権利証を提示していましたが、現在はこのパスワードを用いることで同じ目的を達成します。

  • オンライン登記申請での利用

 登記申請がオンラインで行われるようになったことから、登記識別情報のパスワードを使用して、申請者が正当な権利者であることを確認します。

  • 通知の方法

 登記識別情報は、目隠しシールが貼られた紙として登記所から送付されます。

 このシールを剥がすことで、パスワードを確認できるようになっています。

  • 安全性のリスク

 権利証は紙そのものが盗まれた場合に危険性がありますが、登記識別情報はパスワードを盗み見られる危険性があります。

 そのため、パスワードの管理には十分な注意が必要です。

 

2. 登記済証(権利証)とは

 登記済証(一般的には「権利証」と呼ばれることが多い)は、オンライン化前の不動産登記制度で使われていた書面で、次のような役割を果たしていました。

  • 権利の証明

 登記済証は、所有権や抵当権などの権利を新たに取得した際に、登記所が発行する書類です。

 この書類を所有していることで、当該不動産の権利者であることを証明できます。

  • 物理的な証明書

 紙媒体の書類であるため、紛失や盗難の際にはそれを認識できますが、逆に、盗難や偽造のリスクもありました。

  • 不動産取引での使用

 不動産を売却する際や担保権を設定する際には、この権利証を登記申請書に添付することで、権利者であることの証明としました。

 

3. 登記識別情報と登記済証の違い

  • 項目     登記識別情報              登記済証(権利証)
  • 形態     パスワード              書面
  • 登記方法     オンライン登記に対応          紙ベースの登記
  • 発行時期     オンライン化後             オンライン化前
  • 証明方法    パスワードを提示            書面を提示
  • 管理のリスク  パスワードの盗み見による悪用の危険  紙の紛失や盗難のリスク
  • 利用方法     インターネットでの登記申請に必要    登記申請書に添付

 

4. 登記識別情報の管理と注意点

  • パスワードの管理

 登記識別情報のパスワードは、不動産の取引において非常に重要な情報です。

 第三者に知られないよう、慎重に管理する必要があります。

  • 紛失時の対処

 万が一、登記識別情報を紛失した場合は、本人確認の手続きが必要になります。

 最寄りの法務局に相談し、適切な手続きを行いましょう。

  • 権利証から登記識別情報への移行

 オンライン化前に取得した権利証(登記済証)をお持ちの方は、今後の登記申請時に登記識別情報を取得することになります。

 権利証を提示して、必要な手続きを行いましょう。

 

5. まとめ

 登記識別情報は、登記のオンライン化に対応した現代の「権利証」といえます。

 管理の仕方や使い方が従来の登記済証とは異なりますので、不動産の取引や権利の設定を行う際は、しっかりと理解しておくことが重要です。