区分所有建物が滅失した場合、復旧や建替えに関して区分所有者がどのような手続きを踏むべきかについて、区分所有法に規定されています。
具体的には、以下のような手順や条件があります。
1. 滅失の種類による区別
滅失は建物の価格の割合により「小規模滅失」と「大規模滅失」に分けられます。
- 小規模滅失(建物の価格の2分の1以下の場合)
各区分所有者は、滅失した共用部分および自己の専有部分を復旧することができます(第61条第1項)。
ただし、共用部分については、復旧工事に着手するまでに、集会で復旧または建替えの決議があった場合、その決議に従わなければならず、個別の復旧工事はできません。
- 大規模滅失(建物の価格の2分の1を超える場合)
集会で区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数の決議があれば、滅失した共用部分を復旧することができます(第61条第5項)。
決議賛成者以外の区分所有者は、決議賛成者に対して時価での買い取りを請求することができます(第61条第7項)。
2. 復旧や建替えの決議
- 復旧決議
大規模滅失の場合、区分所有者および議決権の各4分の3以上の決議により、共用部分の復旧を決議することができます。
決議に賛成した区分所有者は、賛成者以外の区分所有者に対して、時価での買い取りを請求される可能性があります。
- 建替え決議(第62条)
区分所有者および議決権の各5分の4以上の多数で、建物を取り壊し、新たな建物を建築することを決議できます。
建替え決議が成立した場合、決議に反対する区分所有者に対して、建物や敷地の権利を時価で買い取るか、建替えに賛同するかを求めることができます。
3. 復旧・建替えの手続きの重要ポイント
小規模滅失時、自己判断での復旧が可能ですが、集会での決議が優先されます。
大規模滅失時、復旧決議がない場合には、個々の区分所有者が建物や敷地の権利を時価で買い取る請求を行うことができます(第61条第12項)。
建替え決議においては、特に区分所有者および議決権の5分の4以上の賛成が必要で、反対者に対する権利調整が必要です。
4. 公正証書による規約の設定(第32条)
建物の専有部分の全部を最初に所有する者は、単独で公正証書により、規約を設定することができます。
この規約には以下のような事項を含むことができます:
- 規約共用部分の定め
- 規約敷地の定め
- 専有部分と敷地利用権を分離処分することのできる定め
- 各専有部分と一体化される敷地利用権の割合に関する定め
これらの規定により、滅失時や建替え時の対応が法律の範囲内で円滑に行えるように整備されています。
区分所有者は、これらの法律や規約に従い、適切な手続きを行う必要があります。
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