借地権には普通借地権と定期借地権の2種類があり、特に定期借地権について説明します。
1. 定期借地権とは
定期借地権は、平成4年施行の改正法に基づいて導入され、存続期間の更新が認められない借地権です。
この制度は、借地契約が更新され続けることによって地主が土地の使用収益権を得ることが難しくなることを背景に、取引を活性化させるために設けられました。
2. 定期借地権の種類
定期借地権は以下の3種類に分類されます。
- 一般定期借地権:
基本的な形式の借地権。
- 建物譲渡特約付借地権:
借地権者が借地権の存続期間終了後に建物を地主に譲渡する特約が付いた借地権。
- 事業用借地権:
専ら事業用の建物を所有するための借地権。
3. 事業用借地権の概要
事業用借地権は、借地借家法第23条に規定されています。以下の特徴があります。
- 目的:
専ら事業の用に供する建物の所有を目的とします。居住用の建物は対象外です。
- 存続期間:
30年以上50年未満の期間で設定されます。また、10年以上30年未満での設定も可能です(第23条第2項)。
- 公正証書の要件:
事業用借地権の契約は必ず公正証書によって行わなければなりません。
これは、一般定期借地権が「公正証書等書面によってしなければならない」とされているのに対し、事業用借地権は特に公正証書を求められます。
4. 更新および買取請求権の制限
事業用借地権においては、以下の点が特に重要です。
- 契約の更新がない:
定期借地権の特性として、契約の更新がなく、借地権者は契約満了後に土地を返却する必要があります。
- 買取請求権の行使:
通常、借地権者は建物の買取請求権を行使できますが、事業用借地権では買取請求を行わないことを定めることができます。
5. 事業用借地権の設定
事業用借地権は、事業を行う際に安定した土地の使用を確保する手段として重要です。
公正証書による契約の必要性があるため、法的な保護が強化されている点も特徴です。
まとめ
定期借地権、特に事業用借地権は、地主と借地権者双方にとってメリットのある契約形態です。
契約の内容や条件をしっかりと理解し、適切に運用することが求められます。
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