1. 制限行為能力者の種類
制限行為能力者には以下の4種類があります。
- 未成年者
- 成年被後見人
- 被保佐人
- 被補助人
成年被後見人、保佐人、補助人の要点をまとめます。
2. 成年被後見人と被保佐人・被補助人の違い
成年被後見人は「事理を弁識する能力を欠く常況」にあるため、法律行為を有効に行うことができず、基本的に成年後見人が代理で行います。
一方、被保佐人や被補助人は、一定の範囲において同意が必要な行為はあるものの、基本的には単独で法律行為を行うことができます。
- 成年被後見人:
成年後見人が代理権を持つ(基本的に本人は法律行為を行えない)。
- 被保佐人・被補助人:
本人が法律行為を行えるが、一定の範囲で同意権が適用される。
「成年被後見人の注意点」
日用品の購入など、日常生活に関する行為は成年後見人の同意がなくても取り消すことができない。
3. 被保佐人と被補助人の違い
被保佐人と被補助人は、同意が必要な行為の範囲が異なります。
- 被保佐人:
同意が必要な行為は民法13条の事項の全て。
- 被補助人:
同意が必要な行為は民法13条の事項の一部。
4. 審判開始の違い
被保佐人、被補助人の審判開始には、家庭裁判所の審判が必要です。
審判を請求できる者には共通点がありますが、被補助人の場合、本人以外の者が請求する際は本人の同意が必要です。
被保佐人や成年後見人の場合には同意は不要です。
5. 同意権と代理権
被保佐人、被補助人に対しては、同意権のほかに代理権を付与することもできます。
この場合は、本人の請求または本人の同意が必要です。
6. 制限行為能力者の保護者の特徴
制限行為能力者の保護者(成年後見人、保佐人、補助人)は複数でも法人でも可です。
これは未成年後見人にも当てはまるため、「一人でなければならない、自然人でなければならない」といった選択肢は誤りです。
7. 制限行為能力者の詐術の扱い
制限行為能力者が、自分を行為能力者であると信じさせるために詐術を用いた場合、その行為は取り消すことができません。
これは、「すべての制限行為能力者に共通する規定」です。
まとめ
- 成年被後見人は法律行為が原則取り消し可能。
ただし、日用品の購入等は例外。
- 被保佐人は、民法13条の事項全てに同意権が適用される。
- 被補助人は、民法13条の一部に同意権が適用される。
- 被補助人の審判請求には、本人以外が行う場合は本人の同意が必要。
- 詐術を用いた制限行為能力者の行為は取り消せない。
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