未成年者の行為能力に関する説明で、特に「取り消し可能な行為」と「無効な行為」の区別や、未成年者が単独で行える行為、法定代理人の権限などをまとめています。
1. 「無効」ではなく「取り消すことのできる行為」
- 無効と取り消し可能の違い:
「無効」は、契約自体が最初から存在しなかったことになります。
例えば、意思能力のない者(赤ちゃんや重度の認知症患者など)が行った契約は無効です。
「取り消し可能」は、契約自体は一旦有効に成立するが、後に取り消すことができる状態です。
未成年者が法定代理人の同意なしに行った契約はこの状態になります。
- 取り消しまでの有効性:
未成年者が行った契約は取り消されるまでは一応有効です。
例えば、未成年者が同意なしに行った不動産の売買契約も、法的に取り消されるまでは有効な状態が続きます。
2. 未成年者が単独で行える法律行為
以下の3つは未成年者が単独で行うことができます:
- 単に権利を得、または義務を免れる法律行為:
例:贈与を受ける、債務を免除されるなど。
- 法定代理人が許した処分をする場合の財産の処分:
法定代理人があらかじめ特定の財産の処分を許可している場合、その財産について未成年者が単独で処分(売却など)できます。
- 一種または数種の営業を許された場合、その営業に関する行為:
法定代理人から特定の営業行為を許可された場合、その範囲で未成年者は単独で営業活動を行うことができます。
3. 未成年者が行った行為の取り消し
- 取り消しは単独でできる:
未成年者が行った行為の取り消しは、法定代理人の同意なしに未成年者自身が単独で行うことができます。
4. 法定代理人の権限
法定代理人(親権者や未成年後見人)は、未成年者の法律行為に関して以下の権限を持ちます:
- 同意権:
未成年者が行う法律行為について同意する権利です。
例えば、未成年者が不動産を購入する際に親権者が同意する場合などです。
- 代理権:
未成年者に代わって法律行為を行う権利です。
例えば、未成年者の代わりに契約を締結することができます。
- 取消権:
未成年者が同意なしに行った法律行為を取り消す権利です。
例えば、未成年者が同意なしに購入した高額商品を法定代理人が契約取り消しを主張する場合です。
- 追認権:
未成年者が行った法律行為を後から承認し、最初から有効なものとする権利です。
追認権を行使すると、その行為は遡及的に有効になります。
5. 法定追認(民法第125条)
法定追認とは、明示的な意思表示がなくても、行動によって追認の意思があるとみなされる場合を指します。
民法第125条に具体的な行為が列挙されています。
- 全部または一部の履行
- 履行の請求
- 更改(契約内容の変更)
- 担保の供与
- 取得した権利の全部または一部の譲渡
- 強制執行の申し立て
これらの行為を行うと、追認したものとみなされ、取り消すことができなくなります。
これらのポイントをしっかり押さえておけば、未成年者に関する法律行為の理解が深まるでしょう。
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