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表見代理と無権代理人の責任について

 表見代理と無権代理人の責任についてです。

 

1. 表見代理と無権代理人の責任の基本

 目的:

 どちらも相手方を保護するための制度。

 違い:

 本人の帰責事由の有無がポイント。

 

2. 表見代理の成立要件

 代理権の付与という虚偽の外観:

  • 本人に帰責事由がある:

 本人が代理権を与えたと思わせる状況。

  • 相手方が善意無過失:

 相手方が代理権の有無について悪意でないこと。

  • 効果:

 表見代理が成立した場合、法律行為の効果は本人に帰属。

 

3. 無権代理人の責任追及の要件

  • 本人が追認していない:

 無権代理行為を本人が認めていない。

  • A(無権代理人)が代理権を証明できない:

 Aが代理権を持っていると証明できないこと。

  • 相手方が善意無過失:

 相手方がAに代理権がないことを知らなかった。

  • Aに行為能力がある:

 Aが未成年者でなければ責任を問える。

  • 相手方が取消権を行使していない:

 一度取り消した後には責任を問えない。

  • 効果:

 無権代理行為の法律効果はAに帰属し、相手方はAに対して責任を追及できる。

 

4. 実務的な理由

 表見代理の成立を証明するのは難しいため、無権代理の事実が明らかであれば、相手方はAに責任を追及して解決を図る方がスムーズ。

 

5. 具体例

 例えば、Aが無権代理行為を行った場合、相手方がその行為が成立した場合(表見代理)を主張できるが、成立しなかった場合は無権代理人の責任を追及することができる。

 

まとめ

 表見代理と無権代理人の責任は、相手方を保護するための制度ですが、それぞれの要件や効果をしっかり理解することが大切です。