動産に関する民法の定義とその引渡しの方法について、簡潔にまとめます。
1. 動産とは
動産の定義:
動産は「不動産以外の有体物」を指します。
民法第86条では、土地や建物などの不動産以外のものをすべて動産としています。
また、無記名債権(例えば、新幹線の乗車券やコンサートチケットなど)も動産とみなされます。
2. 動産の引渡し方法
動産を他者に譲渡する際には、以下の4つの方法があります。
- 現実の引渡し:
実際に物を手渡しすることです。
例: 佐藤さんが自分のギターを田中さんに直接手渡す。
- 簡易の引渡し:
既に譲受人(受け取る人)の手元に物がある場合、所有者が「その物をあげる」と意思表示するだけで引渡しが成立します。
例: 佐藤さんが田中さんに貸していたギターを「そのギターをあげる」と言う。
- 占有改定:
物が引渡す側の手元にあるまま、その物を他者に譲渡したとし、引渡し側が「その物を譲受人のために預かる」という形にすることです。
例: 佐藤さんが自分の手元にあるギターを田中さんにあげることを伝え、「田中さんのために預かっておく」とする。
- 指図による占有移転:
物を第三者が所持している場合、譲渡人が「その物を譲受人のために保管してほしい」と第三者に伝え、譲受人がそれを承諾することで引渡しが成立します。
例: 佐藤さんが田中さんに貸しているギターを「中村さんにあげるから、中村さんのために預かってほしい」と言い、中村さんが「了解」と承諾する。
3. 対抗要件とは
対抗要件とは、譲渡したことを第三者に主張できる要件です。
例えば、同じ動産を複数の人に譲渡した場合、最初に引渡しを行った人が所有権を得ることができます。
これが対抗できる状態であり、その条件を「対抗要件」と呼びます。
4. 失踪宣告における取り消しの注意点
失踪宣告が取り消される場合、失踪者が生存していたことや、死亡した時期が異なることが判明した際に、家庭裁判所により宣告が取り消されます。
取り消しがあった場合、失踪宣告により得た財産は返還する義務が生じますが、現に利益を受けている範囲内で返還義務が課されます。
また、取り消し前の財産取引については、当事者が善意であれば、その契約は無効とならない点にも注意が必要です。
このように、動産の引渡しや失踪宣告の取り消しには法律上の細かいルールがありますので、状況に応じて適切に対応することが重要です。
コメントをお書きください