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家族信託の6つのデメリット

家族信託の6つのデメリット

 

l身上監護はできない

 家族信託は財産管理に特化した制度であり、介護施設の入居契約など、本人の身の回りの世話(身上監護)までは担えません。

親の代理として契約を結ぶには、任意後見契約など他の制度との併用が必要です。

 

l 受託者の責任が重く敬遠されがち

 家族信託では、受託者が財産を管理・維持する義務を負います。

例えば、信託不動産で事故が起これば損害賠償責任も生じる可能性があり、固定資産税の対応や報告義務なども含めて手間がかかるため、引き受け手が見つからないケースもあります。

 

l 家族間トラブルの火種になることも

 受託者に大きな権限が集中するため、他の相続人から不信感を持たれたり、使い込みを疑われたりすることがあります。

トラブルを防ぐには、事前の家族会議で信託内容を共有することが重要です。

 

l 契約への同意を得にくい場合がある

 信託契約は本人の同意が必要ですが、「仕組みが難しい」「名義が変わるのが不安」といった理由で拒否されることもあります。

特に不動産の名義変更に抵抗感を抱く親世代は多いため、丁寧な説明が不可欠です。

 

l 相続税の節税効果はない

 家族信託そのものに節税効果はなく、信託財産はあくまで親の資産とみなされます。

親の死亡時には信託された財産にも相続税がかかるため、節税目的で信託を使うのは適していません。

 

l 遺留分トラブルの可能性

 遺留分を持つ相続人がいる場合、家族信託で決めた財産の承継先に対して、遺留分侵害額の請求が起こる可能性があります。

事前に家族会議や契約設計を通じてトラブル回避の対策を講じることが大切です。

 

 家族信託は有効な制度ですが、これらのデメリットも十分理解し、家族でしっかり話し合ってから導入することが必要です。