2025年の不動産市場:資産種別ごとの動向と注目ポイント
2025年の不動産市場は、堅調な経済回復基調を背景に、住宅・オフィス・商業施設・ホテル・物流といった各アセットで異なる動きを見せると予想されます。
以下にそれぞれの動向を簡潔にまとめます。
1. 既存住宅の流通拡大と賃貸市場の変化
省エネ基準義務化、資材・人件費の高騰、住宅ローン金利の上昇などを背景に、新築住宅の価格は上昇傾向にあります。
このため、価格の抑えられた「既存住宅」のニーズが高まり、市場の流通量が増加する見通しです。
同時に、賃料も物価・金利上昇の影響で上昇傾向にあり、「高い賃料を払うより持ち家を購入したい」と考える層の動きも見られるようになっています。
これにより、持ち家志向の回復と中古住宅市場の活性化が進みそうです。
2. オフィス市場は供給が続くも空室率は安定
東京・大阪・名古屋では2025年も大規模な新築オフィスの供給が予定されています。
特に東京では「BLUE FRONT SHIBAURA」、大阪では「淀屋橋駅西地区再開発」など注目の複合ビルが登場。
東京では築古ビルのリノベーションによる再生も活発で、投資需要も旺盛です。
空室率は東京で5%以下、大阪で4%台、名古屋では3%台まで低下が予測され、需要は底堅い状況が続いています。
3. 商業施設では「都心回帰」と「コト消費」が加速
都心部でのショッピングセンター開業が続き、都心回帰が鮮明に。
インバウンド富裕層による「体験型消費(コト消費)」が拡大しており、2025年には東京・高輪や大阪・グラングリーン南館などが新たにオープン予定です。
こうした施設は、観光地など都心以外にも拡大中で、新しい商業スタイルの潮流が生まれつつあります。
4. ホテル市場は外資系が主導し成長継続
2025年はインバウンド需要の回復に支えられ、ホテルの新規開業が活発化。
外資系ホテルが新設ホテルの約6割を占め、高額プランや高級サービスが増加しています。
大阪万博や世界陸上といった国際イベントも追い風となり、訪日外国人旅行者数の増加が見込まれています。
一方、国内旅行者数はコロナ前を下回っていますが、円安と賃上げの波が追いつけば、今後の回復も期待できそうです。
5. 物流施設は空室率が課題、次世代型施設に注目
実店舗消費の回復とともに、物流施設の空室率が上昇傾向にあります。
特に東京圏では新規供給が続き、需給調整が課題となっています。
一方で、高齢化対応による宅配ニーズの増加や、スーパー・薬局などによる独自の配送サービスの拡充により、BtoCやDtoCに対応した機能性の高い物流拠点の需要は堅調です。
今後は単なる倉庫ではなく、在庫管理や即時配送を含む高機能施設が主流となる可能性があります。
このように、2025年の不動産市場は全体としては堅調ですが、資産種別ごとに異なる課題と成長要因を抱えています。
市場の動きに合わせた柔軟な投資・活用戦略が求められる年となるでしょう。
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