規約共用部分とは?
「集会室や管理人室」が共用部分になる理由
マンション購入や不動産取引に関わっていると、「規約共用部分(きやくきょうようぶぶん)」という言葉に出会うことがあります。
これは、建物の構造上・利用上は本来専有部分になり得る場所を、管理規約によって共用部分とするものです。
わかりやすい例でいうと、マンションの集会室や管理人室、来客用会議室などがあります。
これらのスペースは、1住戸として独立して使えるほどの構造をしている場合もありますが、全体のために使われるなら、区分所有法に基づき「共用部分」として扱うことができます。
このような扱いを受けたものが「規約共用部分」です。
- 法的な定義と根拠
規約共用部分は、以下の法律により認められています:
区分所有法 第4条第2項「管理規約により共用部分とすることができる。
この場合には、その旨の登記をしなければ、これをもって第三者に対抗することができない。」
つまり、規約共用部分とするためには管理規約にその旨を明記したうえで、登記簿に「共用部分であること」を記録する必要があります。
この登記がなければ、たとえば購入希望者や債権者など第三者に対して、共用部分であると主張できません。
- 法定共用部分との違い
ここで混同しやすいのが「法定共用部分」です。
これは、マンションのエントランス、廊下、階段、屋上、エレベーター、配管スペースなど、構造上または利用上当然に共用とみなされる部分です。
これらは登記しなくても当然に共用部分となるため、登記の有無は問いません。
一方、規約共用部分は「本来専有として登記され得る」部分を、あえて規約で共用にするという選択肢であるため、登記が必要となるわけです。
実務上の注意点
● 管理規約の確認が必須 物件調査や重要事項説明書の作成時には、規約共用部分の有無を確認する必要があります。
パンフレットや登記簿では専有のように見えても、管理規約により共用とされている場合があります。
● 登記簿の記載で確認 規約共用部分は、建物の登記簿「表題部」に「共用部分」と明記されます。
売買や賃貸で対象となる部分がある場合は、登記情報をよく確認することが重要です。
● 所有権は誰にある? 規約共用部分は、通常、区分所有者全員の共有名義となり、個人が単独で所有したり処分したりすることはできません。売却や賃貸も原則として不可です。
● 管理・維持の費用 これらの共用部分の維持管理費も、管理組合が負担することになります。
つまり、マンションの管理費の一部として、規約共用部分の光熱費や修繕費も計上されることがあるのです。
まとめ
規約共用部分とは、「本来専有部分にもなり得る場所を、マンション全体のために共用利用するため、規約によって共用部分と定めたもの」です。
法定共用部分と異なり、規約+登記が必要という点が最大のポイントです。
不動産実務では、こうした部分の所有権や利用制限を誤って説明するとトラブルの元となるため、登記簿+管理規約の両方を必ず確認することが大切です。
特に、投資用物件や区分所有建物の分譲販売時には注意が必要です。
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