電柱が近くにある不動産の調査方法
電柱の有無で価値が変わる?
不動産調査を行う際、建物や土地の情報だけでなく、「敷地内や接道にある電柱の位置と管理者」の確認も非常に重要です。
とくに都市部や狭小地では、電柱の位置が車の出入り、建築計画、景観、資産価値に影響を及ぼすことがあります。
■ そもそも電柱とは?
一般的に「電柱」と呼ばれるものには、2種類あります:
- 電力柱:
電力会社(例:東京電力、関西電力など)が管理。電気を供給するための柱
- 電信柱:
通信会社(主にNTT東日本・西日本)が管理。電話線・光回線のための柱
都市部では、これらが1本の柱に共架(きょうが)されている場合が多く、プレートを見ると管理者名(TEPCO・NTTなど)が記載されています。
上のプレートが管理者か下が管理者かは地域によって異なるため注意が必要です。
■ 電柱調査の基本手順
不動産の調査対象地に電柱がある場合、以下の流れで調査を行います。
1. 現地で柱番号・プレートの確認 → 柱に貼られている番号(例:A23-○○)や所有者名を写真で控えます。
2. 管轄の電力会社・通信会社に問い合わせ → 「この電柱が敷地内かどうか」「移設できるか」「補償契約の有無」「再建築時に支障がないか」などを確認。
3. 敷地内の場合は、電柱敷地料の契約確認 → 電力会社と土地所有者の間で土地使用契約が締結されているか確認。年額1,500円程度の地代が支払われている場合があります。
4. 売買に影響があるかを精査 → 移設希望がある場合や、再建築時の車両進入に支障がある場合は、事前に対策が必要です。
■ 敷地内の電柱は「お金がもらえる」?
敷地内に電柱がある場合、電力会社などと土地使用契約(電柱敷地契約)を結んでいるケースが多く、所有者に対して「電柱敷地料(年間1,500円〜)」が支払われます。
地目によって金額が異なり、以下が目安です:
a. 宅地:1,500円
b. 畑:1,730円
c. 田:1,870円
d. 山林:215円
土地の売買によって所有者が変わる場合は、買主が契約を引き継ぐ必要があります。
契約変更届を電力会社等に提出することを忘れずに。
■ 電柱の移設はできるのか?
「邪魔だからどけたい」と考える方も多いですが、移設には技術的・法的・費用的な制約があります。
移設先 |
認められやすさ |
費用負担 |
敷地内 → 敷地内 |
○(比較的可能) |
無償が多い |
公道内 → 敷地内 |
○(要調整) |
無償が多い |
公道内 → 公道内(自分の前) |
△(許可が必要) |
約10万~15万円程度 |
敷地内 → 公道内 |
✕(行政の方針で 不可が多い) |
不可または要許可 |
私道内 → 他人の私道 |
✕(原則不可) |
要隣地承諾 |
※電柱の移設は、所有者の同意、自治体や道路管理者の許可、技術面での安全確認など多くの要素を満たす必要があります。
■ 実務での注意点
l 電柱が建築や車の出入りの障害になる場合、買主に事前説明が必要
l 重要事項説明書には、「敷地内に電柱あり」「契約引き継ぎ必要」などの記載を
l 調査結果は、電力会社・NTTからの回答書(照会回答書)を取得して保管しておくと安心です。
まとめ:
電柱は“不動産価値に影響するインフラ”
a. 誰が管理しているかを特定し、所在地を確認
b. 電柱敷地料の収入・契約有無を確認
c. 移設の可否と費用負担の有無を確認
d. 再建築や車両出入りに支障がないかを確認
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