私道負担とは?
その道、誰のもの?誰が負担するの?
「私道負担」とは、不動産に関する契約書や重要事項説明書で頻繁に登場する用語です。
一般的には、その土地の一部が“道路”として使われていたり、その道路を通行・利用することに対して費用負担などの制約がある状態を指します。
実務上は大きく以下の2つの意味で使われます。
① 土地の一部が私道になっている(私道を所有している)
これは、売買対象の土地の一部が「道路」として使われている状態です。
たとえば、登記簿上330㎡の土地のうち30㎡が私道(共有持分や単独所有)に含まれている場合、その30㎡は建築基準法上の「敷地面積」にはカウントできず、建ぺい率・容積率の算定に使えないため、実質使えるのは300㎡(有効宅地面積)ということになります。
このような道路部分は、開発時に通行のために確保された道路であることが多く、土地の権利として私道部分を含む「共有持分」として登記されていることが一般的です。
② 接道する道路が私道で、通行等の利用に負担がある(通行料・承諾料)
これは、自分の敷地の前面道路が私道であり、その私道を通行・配管利用するために負担を求められるケースです。
たとえば、
a. 道路所有者から「通行承諾書」や「掘削承諾書」の提出を求められる
b. 上下水道やガス管の敷設に際し、「使用料」や「承諾料」を支払う義務がある
c. 建替え・再建築の際に「承諾が得られず」問題になるケースがある
といった実務上の支障が発生する可能性があります。
私道とは?公道との違いは?
a. 公道:国・都道府県・市区町村などの公的機関が所有・管理している道路
b. 私道:これ以外の個人・法人などが所有する道路
つまり、「建築基準法上の道路(いわゆる“42条道路”)」であっても、所有者が個人ならそれは私道になります。
私道だからといってすべてが悪いわけではありませんが、利用条件や費用負担、将来のトラブルリスクをしっかり確認しておくことが大切です。
私道の所有形態の種類
1. 共有私道(持分あり) → 複数人で共有登記。持分割合の確認が重要
2. 単独私道(自己単独で所有) → 自分一人で管理。利用者が他にいる場合、トラブル防止のため承諾書の取得を
3. 他人所有(持分なし) → 所有権が全くない場合、通行承諾や掘削承諾が必須。後々トラブルになりやすい
現地調査・登記調査のチェックポイント
l 該当不動産の登記簿謄本に「○○㎡持分1/○」の記載があるか
l 公図・地積測量図で私道部分の位置と形状を確認
l 私道の上に水道・ガス・下水管などの配管が通っているか
l 私道が他人名義である場合、通行・掘削の承諾書があるかどうか
l 前面道路が建築基準法上の道路かどうか(建築可能かどうかに直結)
実務的な注意点(重要事項説明での記載)
l 「私道に関する負担等に関する事項」において、面積・持分・負担金・通行制限などの有無を記載
l 敷地面積に私道部分が含まれている場合は、有効宅地面積を明記
l 共有の場合は「持分の割合」、他人所有の場合は「承諾書の写し添付」などが求められる
まとめ:
私道負担=「権利・面積・費用」の確認がカギ
種類 |
内容 |
注意点 |
所有型 |
土地の一部が私道 |
有効宅地面積に注意 |
利用型 |
前面が私道で費用負担 |
通行・掘削承諾、費用、トラブルリスク |
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