市街化区域と市街化調整区域とは?
街をつくる場所とつくらない場所
不動産調査や売買契約において、最初に確認すべき基本情報のひとつが「その土地が市街化区域か市街化調整区域か」という点です。
この2つの区域は、都市計画法に基づき定められており、「建物を建てられるのかどうか」に直結する重要な区分です。
■ 都市計画区域の中の“線引き”
都市計画法では、地域の健全な街づくりを進めるため、「都市計画区域」という大きな枠組みの中で、以下のように“線引き”によって2つの区域を設定します:
区域 |
内容 |
建築の可否 |
市街化区域 |
すでに市街地となっているか、今後10年以内に市街化する区域 |
原則として建築可能 |
市街化調整区域 |
市街化を抑制すべき農地・山林・ 自然環境エリア |
原則として建築不可 (例外あり) |
この“線引き”のことを「区域区分」とも呼びます。
線引きをすることで、無秩序な開発(スプロール化)を防ぎ、計画的な都市整備を可能にするのです。
■ 市街化区域とは?
市街化区域とは、
l すでに建物や道路が整備された既成市街地
l 今後10年以内に計画的に整備を進めるエリア
を指します。
この区域内では、用途地域や建ぺい率・容積率などの都市計画上のルールが定められ、建築物の建築が可能です。建築基準法上の「42条道路」が整備されていることも多く、住宅ローンの利用や再建築もしやすい地域です。
■ 市街化調整区域とは?
市街化調整区域とは、
l 市街化を抑制すべき区域
l 原則として住宅・店舗などの建築を制限される区域
を指します。
農地・森林・水田が広がるような自然豊かな地域が多く、建築にあたっては原則として「開発許可」または「建築許可」が必要です。
無許可での建築はできません。
■ 調整区域でも家が建てられることがある?
はい、以下のような特例要件を満たせば、調整区域内でも建築が許可される場合があります。
l 地域指定制度(例:分家住宅・自己用住宅)
l 公共的施設(例:診療所・集会所・コンビニ・ガソリンスタンド)
l 緩和指定区域(例:準都市化エリア)
これらの詳細は、自治体の「開発審査会基準」や「条例」によって異なるため、必ず市町村の都市計画課で確認することが必要です。
■ 非線引き区域との違いは?
一部の都市計画区域では、区域区分(線引き)を行わない「非線引き区域」があります。
非線引き区域では、市街化の進行状況に応じて個別に開発許可が出され、調整区域のような“原則禁止”とは異なる柔軟な対応がされることがあります。
■ 実務での確認方法
l 各自治体の都市計画課で「都市計画図」「用途地域図」を閲覧
l インターネット公開されている「都市計画情報提供サービス」も活用可能
l 重要事項説明書では「都市計画区域」「市街化区域 or 調整区域の別」を必ず記載
まとめ:
どこに“街”をつくるのかを決めるのが線引き
区域 |
概要 |
建築可否 |
用途地域 |
市街化区域 |
すでに街 or 街にする予定の区域 |
原則建築可 |
必ず指定 |
市街化調整区域 |
街にしない ・自然保全重視 |
原則建築不可 (例外あり) |
原則指定なし |
非線引き区域 |
線引きされていない 区域 |
条件付きで可 |
条例などに基づく |
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