浸水想定区域とは?
水害リスクを可視化した重要エリア
浸水想定区域とは、大雨や河川の氾濫などによって浸水が想定される区域のことです。
水防法に基づき、国土交通大臣や都道府県知事が指定します。
主に、以下のような目的で定められます。
1. 洪水時における迅速な避難の確保
2. 水災による人命・財産の被害の軽減
なぜ重要なのか?
地球温暖化や都市化の影響で、局地的な集中豪雨やゲリラ豪雨が頻発しています。
これにより、河川の増水・氾濫が起きやすくなり、住宅地でも浸水の危険性が高まっているため、あらかじめ被害が想定される区域を明確にする必要があります。
浸水想定区域の種類と内容
水防法に基づいて、次のような種類の河川ごとに浸水想定区域が設定されます。
指定機関 |
対象河川 |
区域名 |
国土交通大臣 |
一級河川などの広域管理河川 |
洪水浸水想定区域 |
都道府県知事 |
二級河川など地域管理河川 |
洪水浸水想定区域 |
これらの区域では、「最大規模の降雨(想定最大規模降雨)」により氾濫した場合の、
I. 浸水の範囲
II. 浸水の深さ
III. 浸水継続時間
などがハザードマップで可視化されます。
家屋倒壊等氾濫想定区域とは?
特に注意が必要なのが「家屋倒壊等氾濫想定区域」です。
これは、堤防決壊などにより強い水流や河岸侵食が生じ、建物が倒壊・流出する危険性の高い区域です。
通常の「床上浸水」リスクを超えて、生命の危険性が非常に高いとされています。
不動産調査・売買時の実務上のポイント
宅建業者の重要事項説明義務(宅建業法35条)
2020年8月より、洪水ハザードマップに基づく「所在地の水害リスク」説明が義務化されました。
l 不動産価値への影響 浸水想定区域内の不動産は、地価や市場価値が下落する傾向があります。
l 特に家屋倒壊等区域内では、住宅ローンの審査が厳しくなることもあります。
l 居住誘導区域との関係 国のコンパクトシティ政策では、浸水想定区域は原則として居住誘導区域に含めないこととされています。
l そのため将来的にインフラや行政サービスの優先順位が下がる可能性もあります。
実際の調査方法
調査の際は、次の方法が実務的に有効です。
l ハザードマップポータルサイト(国交省) → https://disaportal.gsi.go.jp/
「○○市 浸水想定区域」などでWeb検索
l 市町村の防災・都市計画担当課で確認
浸水深と避難の目安(例)
浸水深 |
危険度 |
避難の目安 |
0.5m未満 |
小 |
自宅内待避も検討可 |
0.5~3.0m |
中 |
1階居住者は早期避難が必要 |
3.0m超 |
高 |
2階建住宅でも2階が浸水。 原則として立ち退き避難が必要 |
家屋倒壊等区域 |
非常に高 |
避難情報が出る前でも自主避難を推奨 |
まとめ
用語 |
内容 |
浸水想定区域 |
河川の氾濫により浸水が想定されるエリア (国・県が指定) |
洪水浸水想定区域図 |
水深・浸水時間などを地図化したもの |
家屋倒壊等氾濫想定区域 |
建物の倒壊や流出が想定される区域 |
ハザードマップ |
浸水想定区域等の災害リスクを 住民向けに示した地図 |
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