地番と住居表示の違いは、不動産の登記に使われる「法務局が定めた番号(地番)」と、日常生活での住所や郵便配達に使われる「市区町村が定めた番号(住居表示)」という点にあります。
■ 地番とは
地番は、土地の登記記録を特定するための番号であり、法務局(登記所)によって定められています。
建物や土地の所有権や権利関係を記録する「登記簿」は、すべてこの地番をもとに管理されています。
したがって、不動産取引の際に登記簿を調べるときには、住居表示ではなく地番が必要です。
もともと日本では、住所も地番をそのまま用いていたため、たとえば「〇〇町1丁目2番地」のように地番が住所を兼ねていました。
しかし、土地の合筆・分筆を繰り返すうちに番号がバラバラになり、特に市街地では非常に住所がわかりづらくなったため、住居表示制度が導入されました。
■ 住居表示とは
住居表示は、住居表示に関する法律(1962年施行)に基づいて、市区町村が定める住所制度です。
目的は、わかりやすく、配達しやすい住所を提供することです。
住所の構成は、「町名・街区符号・住居番号」で成り立ちます(例:〇〇市あさひが丘一丁目3番2号)。
マンションの場合は「2-304号」などと表されることもあります。
住居表示の方式には、主に「街区方式」が用いられ、まれに「道路方式」が採用されている自治体もあります。
住居表示を使うことで、郵便物の誤配や迷子になるリスクが減り、特に都市部では整然とした住所表示が実現しています。
実際に、政令指定都市の大半ではこの制度が導入されています(京都市を除く)。
■ 両者の使い分け
l 地番は、登記・権利関係など法的手続きに使う「裏の番号」。
l 住居表示は、郵便や宅配、日常生活で使う「表の住所」。
つまり、住居表示が実施されているエリアでも、登記上の所在地はあくまで地番で表されます。
住居表示が導入されたからといって、地番が消えるわけではありません。
■ 住居表示実施の有無と確認方法
現在も住居表示が未実施の地域が多く、特に農村部や山間部では地番がそのまま住所として使われています。
自分の住んでいる地域が住居表示の対象かどうかは、各市区町村のHPや役所の窓口で確認できます。
■ まとめ
l 地番は不動産登記用の法務局の番号
l 住居表示は郵便や宅配に使う市町村の住所
l 用途が異なり、番号も別物
l 地番は不変だが、住居表示は導入・変更があり得る
「登記は地番、生活は住居表示」と覚えておけば実務でも安心です。
コメントをお書きください