受託者とは?
信託の中核を担う重要な役割
家族信託において、受託者とは、委託者から財産を託され、それを信託目的に沿って受益者のために管理・処分する人物です。
信託の運営そのものを担う「実務の担い手」であり、その選任と信頼関係が制度の成否を左右します。
1. 受託者になれる人
信託法では、未成年者、成年被後見人、被保佐人は受託者になることができません(信託法7条)。
それ以外は個人でも法人でも可能で、資格や免許も不要です。
家族や親族が受託者に選ばれるケースが多い。
2. 受託者の権限
受託者には、信託契約に基づき広範な権限が与えられます。
たとえば、信託不動産の賃貸・売却、資産の運用、新たな財産の取得、金融機関からの借入なども、契約内容次第で可能です(信託法26条)。
ただし、契約によって売却不可などの制限を設けることも可能です。
3. 受託者の主な義務
受託者には多くの義務が課されます。
主なものは以下の通りです:
- 善管注意義務(29条):一般の人より高い注意を払って管理を行う必要があります。
- 忠実義務(30条):受益者のために、信託目的に従って行動することが求められます。
- 分別管理義務(34条):信託財産は受託者の私有財産と明確に分けて管理しなければなりません。たとえば、不動産なら信託登記、現金なら帳簿管理が求められます。
- 自己執行義務(28条):信託事務は原則として自ら行うべきですが、専門性が必要な場合などは第三者委託も可能です。
- 公平義務(33条):受益者が複数いる場合には公平に管理を行う必要があります。
- 帳簿作成・報告義務(37条):会計帳簿を作成し、毎年一度、損益計算書などを受益者に報告。書類の保存期間は原則10年間です。
- 損失てん補責任(40条):義務を怠って損失が生じた場合は、損失の補填や原状回復の責任があります。
このように受託者は、契約上の自由と責任がバランスよく備わった存在です。
信託制度の信頼性を担保するため、受託者には強い義務と一定の制限が課せられており、信託の設計段階での慎重な検討が不可欠です。

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