高層住居誘導地区とは、都市部への人口回帰を促し、職住近接の利便性が高い高層住宅(主にタワーマンション)の建設を推進するために設けられた都市計画上の制度です。
1997年(平成9年)に都市計画法第9条第17項に基づく地域地区の一種として導入されました。
制度創設の背景には、昭和50年代から平成初期にかけて進んだ地価高騰や郊外居住志向によって、都心部の人口が減少し、空洞化が進んでいたという事情があります。
このような状況に対応するため、郊外に転出した居住者を都心に呼び戻し、住居機能を再導入することを目的に高層住居誘導地区が創設されました。
指定には一定の条件があり、用途地域が「第1種住居地域」「第2種住居地域」「準住居地域」「近隣商業地域」「準工業地域」のいずれかで、容積率が都市計画で400%または500%に定められていることが前提です。
指定されると、都市計画で「建築物の容積率の最高限度」「建ぺい率の最高限度」「敷地面積の最低限度」を定めることができるようになります。
これにより、一定条件を満たす住宅建築については、容積率の緩和(最大600%まで)や、道路斜線制限・隣地斜線制限・日影規制の一部緩和が認められ、通常よりも大きな建物の建設が可能になります。
住宅部分が建物全体の2/3以上を占める必要があります。
指定の具体例は全国で2地区のみ。
1つは港区芝浦四丁目の「芝浦アイランド」で、全国初の指定区域です。
もう1つは江東区東雲一丁目の「東雲キャナルコート」で、容積率が400%から600%に緩和され、大規模な高層住宅開発が進められました。
ただし、近年は都心回帰が進み、人口集中が課題となっているため、今後この制度が新たに活用される可能性は低いと見られています。
2025年時点でも指定区域はこの2地区に限られており、制度の役割はすでに終わりつつあるという評価もあります。

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