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遺言信託とは ― 財産の管理も後世に託す新たな相続設計

 遺言信託とは 

  財産の管理も後世に託す新たな相続設計

 

 遺言信託とは、遺言書の中に信託の仕組みを組み込む方法であり、法律的には「遺言によって信託を設定すること」(信託法第3条第2項)をいいます。

 通常の遺言書が「誰にどの財産を渡すか」を記すものに対し、遺言信託は「財産の渡し方だけでなく、その管理方法や使い道まで決める」ことができるのが特徴です。

 たとえば、障がいのある子どもに財産を遺す場合、「一括で渡すのではなく、毎月一定額を支給する」などといった管理と給付のルールを指定できるため、遺された家族の将来を見据えた財産設計が可能になります。

 

 遺言信託の法的特徴

 遺言信託は、あくまで遺言ですので、その効力が生じるのは本人の死亡時からとなります。

 生前の段階では、何度でも内容の見直しや書き直しが可能です。

 また、通常の信託契約では信託する財産を個別に特定する必要がありますが、遺言信託では死亡時点の保有財産全体を信託の対象にすることができます。

 これにより、亡くなった時点での預金・不動産・株式などを一括して信託財産にできる点は、大きな利点と言えます。

 一方で、本人が生前に認知症などで判断能力を失った場合、その財産管理には対応できないという限界もあります。

 遺言信託はあくまで死後の財産管理の手段であり、生前の資産運用や高齢期の生活支援などには対応しません。

 そのため、近年は生前から柔軟な財産管理が可能な信託契約(家族信託)のニーズの方が高まっています。

 

 信託銀行の商品「遺言信託サービス」との違いに注意

 実務で「遺言信託」といった場合、信託銀行のサービス商品を指すこともあるため、注意が必要です。

 信託銀行が提供する「遺言信託業務」は、遺言書の作成支援・保管・死後の執行管理を行うものであり、法律的な「遺言信託」(信託法上の遺言による信託の設定)とは意味が異なります。

 たとえば信託銀行の遺言信託は、実際には「遺言執行者」として死後に遺産を分配・手続きする役割に近く、信託という法的枠組みを実際に活用するケースは多くありません。

 これに対し、法律上の遺言信託は、「遺言をもとに信託を発動させ、受託者が指定された財産の管理・運用を行う」本格的な信託です。

 

まとめ:

 遺言信託は、死後の財産管理や分配をきめ細かく設計したい場合に有効な手段です。

 ただし、生前の認知症対策や日常の資産管理には対応できないため、状況に応じて信託契約と併用することが勧められます。

 どちらを選ぶべきかは、本人や家族の事情、財産の内容、実現したい目的によって異なるため、早めに専門家へ相談することが肝心です。