平成20年
:非嫡出子相続分をめぐる合憲判決とその後の調整
相続制度は、社会の価値観を色濃く反映します。
中でも長年にわたり議論されてきたのが「非嫡出子(婚外子)の相続分差別」です。
平成20年(2008年)、最高裁はこの問題について「合憲」と判断しましたが、その後の社会的な反響や国際的な批判が、後の大きな改正へとつながっていきました。
当時の民法の規定
平成20年当時の民法第900条はこう定めていました。
- 嫡出子の相続分:1
- 非嫡出子の相続分:嫡出子の2分の1
つまり、同じ「子」であっても、婚姻関係にあるかどうかで取り分が半分に制限されていたのです。
この規定は「家族制度」を重視する戦後の価値観の名残でしたが、現代社会の多様な家族観と乖離している点が問題視されていました。
平成20年の最高裁合憲判決
平成20年3月、最高裁はこの規定について「違憲ではない」と判断しました。
理由は以下の通りです。
- 婚姻関係にある夫婦の子を優遇する立法目的には合理性がある
- 非嫡出子も相続権を持つ以上、完全な排除ではない
この判決は「従来の制度を維持する」ことを意味しましたが、社会的には賛否が分かれました。
社会的反応と国際批判
合憲判決後、日本国内外から批判が相次ぎました。
- 国内の声
「同じ親から生まれた子なのに不公平だ」
「時代に合わない差別を温存している」
- 国際的な批判
国連の人権機関からは「婚外子差別の撤廃」を繰り返し勧告されていました。
当時の日本社会でも事実婚や未婚の母が増えており、民法の規定が現実に追いついていないことは明らかでした。
実務への影響
平成20年判決の後も、実務では非嫡出子が相続分をめぐって争うケースが続きました。
特に問題となったのは以下のような場面です。
- 相続財産の分割協議
「婚外子だから相続分が半分」という主張がトラブルの火種に。
- 遺言との組み合わせ
遺言で特定の子に多くの財産を渡す場合、非嫡出子の取り分はさらに縮小し、不満が増大。
- 国際結婚の家庭
日本の制度が海外の常識と異なるため、トラブルが複雑化。
こうした実務の中で「早く法改正を」という声が強まっていきました。
その後の転換点
平成20年の合憲判決から5年後、平成25年(2013年)に最高裁は真逆の判断を下します。
- 非嫡出子相続分差別は違憲
直ちに立法措置を取るべき
これにより、民法は改正され、嫡出子と非嫡出子の相続分は完全に平等化されました。
つまり、平成20年の合憲判決は「最後の抵抗」のような位置づけであり、社会的な議論をさらに加速させる結果となったのです。
まとめ
平成20年の最高裁合憲判決は、当時の価値観を反映したものでしたが、社会的には大きな違和感を残しました。
- 婚外子の相続分は嫡出子の半分 → 合憲と判断
- しかし国際的批判・国内世論が反発
- 平成25年には違憲判決が出て法改正へ
この流れを見ると、法律は社会の常識に必ずしもすぐ追いつくわけではないことが分かります。
しかし、最終的には社会の声と国際的な潮流に押されて、より平等な制度へと進んでいきました。

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