平成27年改正
:成年年齢を20歳から18歳へ引下げ
― 若者の自己決定と社会の変化
「大人になるのは何歳からか?」
―この問いに対する法律上の答えが、平成27年(2015年)の民法改正で大きく変わりました。
明治時代から約140年間「20歳」とされてきた成年年齢が「18歳」に引き下げられることとなったのです。
この改正は2022年4月から施行され、社会に大きなインパクトを与えました。
改正の背景
成年年齢を引き下げた背景には、いくつかの社会的要因があります。
- 国際的な流れ
多くの国では18歳が成年年齢とされており、日本の「20歳」はむしろ例外的でした。
- 選挙権年齢の引下げ
2015年の公職選挙法改正で選挙権が18歳以上に引き下げられ、政治参加の観点からも整合性が求められました。
- 若者の自己決定権尊重
18歳で大学進学や就職を選ぶ人も多く、実社会で大人として行動していることから、法律上も権利能力を認めるべきだとされました。
改正のポイント
- 成年年齢:20歳 → 18歳
契約行為など、親の同意が不要に。
- 女性の婚姻開始年齢:16歳 → 18歳
男女ともに18歳で統一され、性差別的な要素が解消。
- 飲酒・喫煙・競馬などの年齢制限は20歳のまま
心身の健康や依存症リスクを考慮し、一部の制限は維持されました。
実務への影響
- 契約社会への早期参加
18歳からローン契約、クレジットカード契約、携帯電話の長期契約などが単独で可能に。
便利になる一方で、若者が悪質商法に狙われるリスクも高まりました。
- 親の責任範囲の変化
親の同意権が及ぶ期間が短縮され、「子どもを守れる年数」が減少しました。
そのため高校卒業直後の契約トラブルに家庭や学校が直面する事例が増えました。
- 結婚年齢の統一
女性の婚姻年齢が引き上げられ、男女平等が法的に実現しました。
ただし、従来「16歳から結婚できる」と考えていた一部の慣習との調整も必要になりました。
社会的な意味
この改正は、単なる数字の変更にとどまりません。
- 若者を「守られる存在」から「自己決定する存在」へ
- 国際水準に合わせた法制度整備
- 教育・消費者保護・雇用など幅広い分野に波及
つまり、18歳を「大人」と認めることで、社会全体に「若者の意思を尊重する」というメッセージが打ち出されたのです。
課題と懸念
一方で、課題も少なくありません。
- 消費者被害
18歳・19歳がマルチ商法や高額契約のターゲットになる事例が急増。これに対応するため、消費者契約法も改正され、取消権の拡充などが図られました。
- 教育現場でのギャップ
高校生が「法律上は大人」になることで、学校側の指導や保護の在り方に混乱が生じています。
- 社会的な成熟とのズレ
18歳を法律上は大人とみなしても、経済的・精神的に自立していない若者も多く、現実とのギャップが指摘されています。
まとめ
平成27年改正による成年年齢引下げは、日本社会における「大人の定義」を大きく変えました。
- 成年年齢を20歳から18歳に引下げ、若者の自己決定権を拡大
- 契約自由が広がる一方、消費者被害のリスクも増加
- 結婚年齢の統一で男女平等が実現
この改正は、若者に新たな責任と自由を与える一方で、社会全体に「どう守り、どう育てるか」という課題を突きつけています。

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