「身元保証サービス」の闇
―頼れるはずのNPOが遺産を狙っていた?
「家族がいないから、老後は不安…」「介護施設に入るにも、入院するにも保証人が必要といわれた…」そんな声に応えてくれるはずの“身元保証サービス”が、いま深刻なトラブルの温床になっています。
高齢者の孤独や不安につけ込んで、死後の預金を勝手に引き出す、
遺言書を書かせて財産を奪う。
そんな信じがたい実態が、あるルポで明らかになりました。
死後20日後、預金が引き出された
85歳で亡くなった山根三郎さん(仮名)は、妻も子どももおらず、頼れる親族もいない独居高齢者でした。
そこで彼が頼ったのが、あるNPO法人の身元保証サービス。
入院や施設入所の際の保証人、死後の手続きまで任せられるというこのサービス。
しかし、彼の死後、奇妙な事実が判明しました。
山根さんが亡くなったのは某月29日。
その後、約20日が経過した翌月18日、彼名義の口座から10万円超の振り込みが行われていたのです。
しかも、利用されたATMは、NPO法人の事務所のすぐ近く。振り込み先はかつて彼が利用していた訪問介護事業所でした。
請求書には「おむつ代」「退去時のクリーニング代」と書かれていたものの、その金額の正当性を証明できる人はもういません。
「死人に口なし」…遺言書で全財産が他人へ
さらに疑惑は続きます。山根さんが亡くなる7ヵ月前に書かれたという遺言書には、こう書かれていました。
「遺言者は所有するすべての財産を◯◯(女性名)に遺贈する」
この◯◯さんは、山根さんを短期間だけ担当した、NPO法人の職員であり、ヘルパー。
親族の1人は「本人の意思でこんな遺言を書くとは思えない」と疑問を口にしました。
確かに文字は震えており、病状も進行していた時期。
果たして本当に“自筆”なのか。
何より、そこに本人の意志があったのか。
成年後見人との違いとは?
ここで改めて、「身元保証」と「成年後見」の違いを確認しましょう。
- 成年後見人:裁判所が選任し、財産管理と本人保護を行う法的代理人
- 身元保証人:あくまで任意契約。法的義務や監督がなく、監視体制も曖昧
つまり、成年後見制度は「本人を守る」仕組みですが、身元保証は「代行」が中心。
もし悪意ある業者が介在すれば、本人に代わって勝手な契約を結び、財産を流出させることも可能なのです。
無規制のサービスに潜む危険
そもそも、この身元保証サービスという仕組み自体が、国の法律で十分に整備されていません。
NPOや一般社団法人など、誰でも立ち上げられる組織が、保証人になったり、死後事務を請け負ったりしているのが現実です。
中には、きちんと信頼できる団体もありますが、十分な説明なしに高額な費用を請求されたり、解約しても返金されないといった被害報告が後を絶ちません。
どうすれば高齢者を守れるのか?
では、私たちはどうすればよいのでしょうか?
信頼できる人がいない場合でも、以下の方法でリスクを減らすことができます
- 成年後見制度の活用
判断能力が低下する前に、任意後見契約を公正証書で結んでおけば、信頼できる人が正式に財産管理を行えます。
- 契約書のコピーは家族や第三者へ
身元保証契約を結ぶ際は、必ず内容を第三者(士業など)に確認してもらうこと。
財産や死後の処理に関する内容が入っていないか、要チェックです。
- 遺言は公正証書で
自筆証書遺言は改ざん・強要のリスクがあります。
公証人立会いのもと作成する「公正証書遺言」で、真正性を担保しましょう。
まとめ
「お金があるから老後は安心」
そんな時代はもう終わりました。
むしろ、お金があるからこそ狙われる時代です。
孤独な高齢者が、最期に頼るべきは「仕組み」であり、「監視の目」でもあります。
本人の尊厳と財産を守るために、今こそ制度の見直しと、身元保証サービスに対する法的整備が求められています。

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