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特別寄与料請求制度― 相続人以外の貢献も報われる時代へ

 

 令和2年改正

 :特別寄与料請求制度

 ― 相続人以外の貢献も報われる時代へ

 

 相続の場面では「誰がどれだけ貢献したか」がしばしば争点になります。

 長年介護や看病を続けてきた親族がいたとしても、従来の民法では「法定相続人」でなければ報われない仕組みでした。

 そこで令和2年(2020年)に導入されたのが 「特別寄与料請求制度」 です。

 この制度は、相続人以外の親族が貢献した場合にも正当に評価される仕組みを作り、相続の公平性を高めました。

 

 改正前の問題点

 従来の制度では、相続人が被相続人の財産形成や維持に寄与した場合、「寄与分」として相続分が増える仕組みがありました。

 しかし、寄与分が認められるのは 法定相続人だけ。

 例えば、以下のような人は報われない状況でした。

  • 被相続人の嫁(長男の妻)が長年介護した
  • 被相続人の甥や姪が生活の世話をした
  • 法定相続人ではないが日常的に援助していた親族

 結果として「世話をしてきた人ほど相続分がゼロ」という不公平が生まれ、トラブルの火種になっていました。

 

 特別寄与料請求制度の内容

 令和2年の相続法改正で創設されたこの制度は、相続人以外の親族に新しい権利を与えました。

  • 請求権者

 被相続人の親族(6親等内の血族、3親等内の姻族)で、無償で療養看護や財産管理をした人。

  • 内容

 相続開始後に、相続人に対して「特別寄与料」の支払いを請求できる。

  • 金額

 貢献の内容や期間を考慮し、家庭裁判所が決定。

 相続財産の分割に影響を与える。

 

 つまり、「法定相続人ではないからゼロ」という理不尽な結果を避け、実際の貢献を正当に評価する制度です。

 

 実務での効果

  • 介護する嫁・婿の救済

 長年の介護で心身をすり減らした配偶者の妻や夫も報われるようになりました。

  • 相続協議の公平性向上

 「世話をした人が報われる」という納得感が加わり、相続協議の対立が和らぐ効果があります。

  • 家庭裁判所の役割拡大

 請求がもめた場合、裁判所が金額を決定。実務家にとって新しい分野として注目されています。

 

 社会的意義

 この改正の意義は非常に大きいです。

  • 介護・看護の負担を社会全体で認める

 女性や特定の家族に偏りがちな介護負担を法的に評価する仕組み。

「相続=血縁のみ」という固定観念を崩した

 これまで排除されていた親族の努力も認める方向へ進みました。

  • 介護現場へのメッセージ

 「無償の献身が報われない」という社会的不満を和らげる効果があり、介護の担い手不足への対策の一環ともなります。

 

 課題と展望

  • 請求のハードル

 家庭裁判所への申立てが必要なため、手続きが複雑と感じる人も多いです。

  • 金額の算定基準が不明確

 「どの程度の介護でいくら認められるか」がケースバイケースで、統一基準がまだ整備されていません。

  • 親族間の感情的対立

 「嫁にまで払うのか」といった不満が相続人から出る場合もあり、制度がトラブルの新しい火種になるリスクも残されています。

 

 まとめ

 令和2年の特別寄与料請求制度は、これまで不公平を受けてきた相続人以外の親族を救済する画期的な改正でした。

  • 相続人以外の親族も貢献度に応じて金銭請求が可能に
  • 介護・看護など「無償の労働」を法的に評価
  • 公平性を高める一方で、算定や感情面の課題も残る

 この制度は「相続=財産の分け合い」から「相続=家族の貢献を正当に評価する仕組み」へと進化させた象徴的な改正といえるでしょう。