不動産業界の隠語「委託物件価格引き下げ法」とは?
「委託物件価格引き下げ法」とは、仲介会社が販売を委託されている物件の価格を、売主の同意のもとで少しずつ下げさせ、成約確率を高める戦術を指す業界用語です。
ポイントは、単に「安くしてください」と直球で言うのではなく、市場の動き・問い合わせ状況・他物件の成約情報を使って、売主自身が「このままでは売れない」と納得できる状況を作ることです。
これは売主のためでもあります。
高値のまま長期化すると、物件が“売れ残り感”を持たれ、かえって成約価格が下がるリスクがあるためです。
価格引き下げのステップ
- 販売開始〜1か月目:反応データの共有 内見件数や問い合わせの少なさを数字で提示。
- 2〜3か月目:市場比較資料の提示 近隣で成約した物件や新規売出物件の価格を見せ、差を意識させる。
- 4か月目:機会損失を強調 「この時期を逃すと買い手が減る」という季節要因や金利動向を説明。
値下げ提案 「○○万円まで下げれば、次の内見で決まる可能性が高い」と具体的に提示。
実例:郊外の戸建てを3回の段階値下げで成約
物件概要
山形市郊外・築20年戸建て
土地70坪
売出価格:2,200万円(相場は約2,000万円)
1か月目:反応の低さを共有
A(仲介営業):「販売開始から1か月、内見は2件だけです」
S(売主):「やっぱり少ないですか?」
A:「はい。3件以上ないと売れる可能性は低めです」(数字で現状を理解させる)
2〜3か月目:比較で意識を揺らす
A:「近くで築18年の家が1,980万円で売れました」
S:「うちより安いですね」
A:「ええ、条件も似ています。価格を見直すと内見が増える可能性があります」(相場との差を明確にする)
4か月目:タイミングを理由に提案
A:「金利が上がる前の今が買い時という人が多いです」
S:「なるほど…」
A:「2,050万円に下げれば、次の内見希望者が即決するかもしれません」
S:「わかりました、下げましょう」
結果:2,200万円 → 2,100万円 → 2,050万円と段階的に引き下げ、4か月目で成約。
この方法のポイント
データと事例で説得感情ではなく数字と市場事例で納得させる。
段階的に下げる一度に大幅値下げではなく、少しずつ下げることで心理的抵抗を減らす。
タイミングを逃さない季節要因・金利・税制など、売主が納得しやすい理由を使う。
メリットとデメリット
メリット
- 成約までの期間を短縮できる
- 売主の納得度が高く、交渉がスムーズ
- “売れ残り感”を回避できる
デメリット
- 値下げに応じない売主には効果なし
- 長期化しすぎると市場が下がるリスク
- 他社に媒介を切り替えられる場合もある
まとめ
委託物件価格引き下げ法は、売主を数字と市場事例で納得させ、段階的に価格を下げる営業術です。
ただし、値下げ提案はタイミングと理由付けが命。売主に「売れなかったから下げた」のではなく、「戦略的に下げた」と思わせることが、成功のカギになります。

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