不動産業界の隠語「重説表現法」とは?
「重説表現法」とは、重要事項説明(宅地建物取引業法第35条に基づく説明)の場面で、買主や借主の不安を和らげつつ、自社や売主に有利な印象を与えるための言い回しや説明順序の工夫を指す業界の俗称です。
重要事項説明(通称「重説」)は宅地建物取引士が必ず行う法定手続きですが、その中で使う言葉や説明の順番、詳細の強調度合いによって、契約への心理的影響が大きく変わるのが実務の現場です。
重説表現法のテクニック例
- ネガティブ事項を前向きに言い換える
「築年数が経っていますが、その分しっかりとリフォーム済みです」
- 法律用語をかみ砕く
「都市計画区域内」というより、「市街地として整備されているエリアです」と説明。
- 順序を工夫する
先にメリットや安心材料を説明し、その後に制限や注意点を伝える。
- 補足情報で安心感を与える
用途地域の制限も、「住宅建築に問題はありません」と添える。
実例:道路幅員不足物件の重説
物件概要
山形市内・築35年戸建て
前面道路幅員:3.5m(建築基準法上の接道要件は4m)
価格:1,200万円
会話例(説明の仕方)
T(宅建士):「前面道路の幅は3.5mで、再建築の際にはセットバックが必要です」
B(買主):「セットバックって何ですか?」
T:「道路を広くするために、敷地の一部を道路として提供する制度です。こちらの物件だと約0.25mほどになります。将来の建替え時には必要ですが、日常生活には支障ありません」
B:「なるほど…」T:「その分、建物の前が広くなって見通しが良くなるという利点もあります」(事実は伝えつつ、不安感を減らす)
さらに別のパターン(告知事項あり)
T:「過去に雨漏り歴がありますが、昨年しっかり補修済みで、工事保証も5年ついています」B:「補修してあるなら安心ですね」(ネガティブ情報は必ず補足の安心材料とセットで説明)
重説表現法のポイント
- 事実は隠さない(法律で義務)
- 説明順序は工夫する(先に安心材料、次に制限事項)
- 難しい言葉は日常語に置き換える
- 不安要素には補足情報を添える
メリットとデメリット
メリット
- 契約前の不安を和らげ、成約率が上がる
- 顧客満足度が高まり、クレームが減る
- 専門家として信頼を得やすい
デメリット
- 表現の仕方を誤ると「ごまかした」と受け取られる
- 実態以上に良く見せると契約後のトラブルリスク
- 宅建業法の説明義務違反になる可能性
まとめ
重説表現法は、法律上必要な説明を正確に行いながらも、言葉と順序の工夫で顧客の不安を減らす技術です。
単なる“セールストーク”ではなく、宅建士としての誠実さと法令遵守が大前提。
事実を隠さず、しかし前向きに伝える―これこそがプロの説明力です。

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