不動産業界の隠語「案内順番法」とは?
「案内順番法」とは、不動産営業マンが物件案内を行う際、複数の候補物件を見せる順番を戦略的に組み立て、成約率を高める手法を指す業界の俗称です。
同じ物件でも、見せる順番によってお客様の評価は大きく変わります。
これは心理学の「対比効果」を利用したもので、先に“普通または少し劣る物件”を見せることで、最後に見せる本命物件の印象をぐっと高めることができます。
逆に、最初に理想に近い物件を見せて「このレベルは高すぎる」と思わせ、現実的な選択肢へ落ち着かせるパターンもあります。
案内順番法の代表パターン
- 最後に本命型
最初は条件を少し落とした物件 → 本命物件で「比較的に優れている」と感じさせる
- 現実調整型
最初に条件の良すぎる物件(予算オーバー) → 予算内物件が現実的に見える
- エリア広げ型
希望エリアでやや条件劣る物件 → エリアを広げた良物件を魅力的に見せる
実例:郊外戸建て案内での順番戦略
顧客条件
予算:2,500万円以内
希望:市中心部、3LDK以上、駐車2台可
案内プラン
- 物件A(中心部・駐車1台・古め)
:希望エリアだが設備や駐車条件は妥協が必要
- 物件B(中心部・駐車2台・やや古い)
:条件は改善するが内装に難
- 物件C(郊外・駐車2台・築浅)
:エリア外だが条件が揃う本命
会話例(案内中)
営業(S):「こちらが中心部の物件Aです。駅は近いですが駐車は1台のみですね」
買主(B):「うーん…駐車1台は厳しいかも」
(次の物件へ)
S:「こちらは駐車2台可能ですが、内装は少し古めです」
B:「悪くはないけど、もう少しきれいだといいな」
(最後に本命物件Cへ)
S:「郊外になりますが、築5年・駐車2台・内装もほぼ新築状態です」
B:「エリアは外れるけど、条件は完璧ですね!」→ 翌日、物件Cで契約
この方法のポイント
- 比較対象を意図的に作る
最後に見せたい物件の長所が際立つよう、前の物件で“不満”を体験させる。
- 見せすぎない
3〜4件までに絞る。多すぎると混乱し、決断力が落ちる。
- 順番の根拠を持つ
「距離順」「価格順」など自然な理由をつけて案内する。
メリットとデメリット
メリット
- 本命物件の印象が強まり、成約率が上がる
- 予算や条件の現実ラインを理解してもらいやすい
- 案内時間を有効活用できる
デメリット
- 最初の物件で心が動いてしまう場合もある
- 操作的と感じられると不信感を持たれる
- 本命が売れてしまうと案内計画が崩れる
まとめ
案内順番法は、見せる順番で物件評価をコントロールする心理戦です。
大事なのは、お客様をだますのではなく、比較によって「自分に合った物件」を見つけやすくすること。
上手く使えば、限られた時間で高い成約率を実現できる、営業現場の必須テクニックです。

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