相続調停でよくある誤解
:調停で不動産はどう評価される?
相続財産の中で最も大きな割合を占めるのが不動産です。
特に地方では「預金より不動産の方が多い」というケースが多く、遺産分割調停でも必ずといっていいほど不動産の評価が争点になります。
ところが、「不動産の評価は一つの正解がある」と思っている方が多く、調停で混乱が生じることも少なくありません。
不動産の評価方法はいくつもある
不動産の評価には様々な基準があります。
- 固定資産税評価額
市区町村が毎年算定する税務上の評価。相続税評価額の基礎になるが、市場価格より低いことが多い。
- 路線価
国税庁が毎年公表する土地の評価額。相続税の計算に用いられる。
- 不動産会社の査定価格
実際に売却したらいくらになるかを示す。市場に近いが、業者ごとに差が出る。
- 不動産鑑定士の鑑定評価
専門家が法律と実務に基づき算定する公的な評価。調停や裁判で重視されやすい。
調停で使われる評価の実際
調停では「この評価額でなければならない」という絶対的なルールはありません。
当事者が納得できれば、どの基準を使っても構いません。
ただし合意が難しい場合には、家庭裁判所が 不動産鑑定士による鑑定評価 を勧めることがあります。
この場合、費用は数十万円かかりますが、第三者の客観的な評価として説得力を持ちます。
よくある誤解とトラブル
誤解①
固定資産税評価額=実勢価格
固定資産税評価額は実勢価格の7割程度が目安です。
そのまま分割に用いると「安く見積もられすぎ」と不満が出ることがあります。
誤解②
不動産会社の査定=正確な値
査定価格は売却を前提とした見込み値で、会社ごとにばらつきが大きいのが実情です。
誤解③
鑑定評価なら必ず公平
鑑定評価も条件設定によって結果が変わることがあり、「想定より低い/高い」と揉めることもあります。
具体例
山形市のあるケース。
相続財産は自宅と畑。
長男は「固定資産税評価額で分けよう」と主張し、次男は「不動産会社の査定で3倍の価値がある」と反発。
調停は平行線となり、最終的に不動産鑑定士に鑑定を依頼。
結果は「固定資産税評価額の約1.8倍」と出て、双方が折り合いをつける形で合意しました。
調停をスムーズにするためのポイント
- 複数の評価を比較する
固定資産税評価額、路線価、査定価格を並べ、違いを理解する。
- 鑑定費用も考慮する
鑑定を依頼すると数十万円かかるため、争点となる財産規模に見合うかを検討。
- 柔軟に妥協する
不動産評価は「唯一の正解」がないため、双方が歩み寄る姿勢が欠かせません。
まとめ
不動産には複数の評価方法があり、どれを使うかで結果が大きく変わる
調停では当事者の合意が最優先だが、合意できない場合は鑑定評価が重視されやすい
評価方法の違いを理解し、柔軟に妥協することがスムーズな解決につながる
不動産評価は「正解を探す」よりも「双方が納得できる基準を選ぶ」ことが大切なのです。

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