不動産業界の隠語「申込金法」とは?
「申込金法」とは、不動産売買や賃貸契約の現場で、購入(または賃貸)希望者から申込金を先に預かることで、心理的に契約へ進ませる営業手法を指す業界隠語です。
本来、申込金は「契約を前提にした意思表示」の証拠として預かるもので、金額は数万円〜数十万円程度が一般的。
法的には手付金とは異なり、契約前なら返金可能です。
しかし、営業の現場では「先に申込金を入れる=ほぼ買うつもり」という心理が働き、他物件への流出防止や価格交渉の強化材料として利用されます。
申込金の本来の役割と営業的効果
- 買う意思の確認
冷やかし客をふるいにかけ、本気度の高い顧客を見極める。
- 物件の一時取り置き
短期間、他の客に案内しない“優先枠”を確保。
- 心理的ロック
お金を出したことで、顧客が「やっぱりやめた」と言いにくくなる。
実例:中古マンション販売での活用
案件
山形市中心部・築12年マンション
売出価格:2,180万円
会話例(申込金の提案)
B(買主):「この物件、他の人にも紹介してるんですか?」
S(営業):「はい、今週末にも内覧予定が入っています。
ただ、申込金をお預かりできれば、優先的に商談枠を確保できます」
B:「いくら必要ですか?」
S:「10万円です。契約前にキャンセルされれば全額お返しします」
B:「じゃあお願いします」
→ この後、売主への価格交渉も「既に申込金を預かっている顧客がいる」という強みで優位に進行し、2,130万円で成約。
この方法のポイント
- 返金条件を明確にする
契約不成立時は全額返す旨を申込書に明記。
- 金額設定は程よく
高すぎると心理的負担、安すぎると本気度が測れない。
- 領収証+申込書のセット
口約束で受け取らない。必ず書面化。
- 期間管理
申込金での“キープ”は1週間〜10日程度が目安。
メリットとデメリット
メリット
- 本気度の高い顧客を早期に確保
- 価格交渉で「買主の真剣さ」をアピールできる
- 他社・他物件への流出防止
デメリット
- 説明不足や返金トラブルのリスク
- 高額だと顧客が警戒
- 宅建業法違反(手付金と誤認させる行為)になる場合あり
法的注意点
- 申込金は手付金と異なり、契約前なら返還義務あり
- 説明不足で「返さない」対応をすると法的トラブルに発展
- 宅建業法第47条(不当な契約締結の誘引)違反に注意
まとめ
申込金法は、顧客の本気度を引き出し、成約率を高める心理的テクニックです。
ただし、扱い方を間違えるとトラブルや法令違反につながるため、「返金条件の明示」「書面化」「適正金額」の3原則が必須。
誠実な説明と管理を徹底すれば、交渉を有利に進める“営業の武器”になります。

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