不動産隠語「未公開物件(本当は公開済)」─“特別感”を演出する営業テクニックの裏側
住宅を探していると、不動産会社の広告や営業トークで「未公開物件です」「当社だけが扱っています」といった言葉を耳にすることがあります。
顧客からすると「他の人にはまだ知られていない、自分だけが紹介された特別な物件」という印象を受けるため、強い関心を引き出す手法です。
しかし、実際にはすでに レインズ(不動産流通機構のデータベース)やポータルサイトに掲載済みであるケースも多く、完全な“未公開”ではないことも少なくありません。
業界では、こうした物件を「未公開物件(本当は公開済)」と呼ぶことがあります。
未公開物件の意味
本来の「未公開物件」とは、まだ一般市場に出回っていない物件のことです。
例えば、
- 売主が近所に知られたくないため、広告を制限している物件
- レインズ登録前のごく短期間に案内される物件
- 社内限定や特定の顧客だけに紹介するクローズド物件
これらは確かに「未公開」といえるものですが、実務上は「既に公開済みだが、あえて“未公開”を名乗る」ケースも存在します。
実例:特別感で即決した顧客
ある不動産会社では、レインズ登録済みの中古戸建を「当社だけの未公開物件」として案内。
実際は他社からも紹介可能な状態でしたが、顧客は「特別に紹介された」と感じ、すぐに購入を決断しました。
「未公開」という言葉が、顧客心理に“早く決めなければ他に取られてしまう”という焦りを生じさせた典型例です。
会話例
S(営業):「この物件、まだ一般公開していません」
B(客):「じゃあ早く決めた方が良いですね」
(実際はすでにレインズに登録済で他社からも紹介可能な状態)
メリットとデメリット
メリット(営業側)
- 顧客の興味を引きやすい
- 特別感で来店や即決につながる
デメリット
- 誇大広告や虚偽表示と判断されれば景品表示法違反の可能性
- 売主や買主から信頼を損なうリスク
- 競合他社からのクレームやトラブルにつながることも
成功させるためのポイント
- 実際の広告状況を確認する
- レインズ・ポータルサイトをチェックし、真に未公開かどうかを把握。
- 「完全未公開」と言い切らない
- 「公開前」「レインズ登録済だが広告は制限中」など、正確な説明を心がける。
- 本当の未公開物件は短期間で勝負
- レインズ登録前の数日間など、本当に未公開である時期は短い。その間に的確な顧客へ案内するのが鍵。
他の隠語との違い
- 撒き餌物件:安さで客を集める広告戦術
- 先行案内:公開前に特定顧客に紹介する正規の手法
- 未公開物件(本当は公開済):公開済みでも「未公開感」を演出する営業トーク
一見似ていますが、「未公開感」を装うのはグレーゾーンであり、説明責任が問われやすいのが特徴です。
まとめ─“未公開”は魔法の言葉か、それともリスクか?
不動産隠語「未公開物件(本当は公開済)」は、実際には市場に出ているにもかかわらず、あえて“未公開”を演出して顧客の購買意欲を高める手法です。
確かに効果はありますが、行き過ぎれば法令違反や信頼失墜につながります。
「未公開」という言葉は魔法のように顧客心理を動かします。
しかし、真実を見極める目と、正確な説明を欠かさない姿勢こそが、不動産営業における長期的な信用につながるのです。

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