· 

負動産と呼ばれる理由

「負動産」と呼ばれる理由

 

 「不動産」といえば、かつては「資産の王様」のような存在でしたよね。

 土地や家を持っているというだけで「この人はしっかりしている」「将来も安心できそう」なんて印象を持たれることもありました。

 

 ところが、近年ではこの「不動産」が、「負動産(ふどうさん)」なんて言葉で呼ばれるようになってきました。

 資産のはずだった家や土地が、負担・お荷物・処分できない“負の遺産”になってしまうケースが全国で増えているのです。

 

  なぜ「不動産」が「負動産」になるのか?

 理由はとてもシンプル。

 「持っているだけでお金や手間がかかる」からです。

 空き家や使っていない土地であっても、持っている限り、以下のような“維持コスト”が自動的に発生します。

 

① 固定資産税:住んでいなくても払う義務がある

 使っていない土地や空き家にも、毎年、固定資産税の請求書はきっちり届きます。 

 築年数が古くても、土地が広ければ評価額は高くなり、年間10万円以上になることもザラ。

 収入を生まないどころか、お金が出ていく一方の「マイナス資産」となってしまいます。

 

② 維持管理費:何もしなくても何かが壊れる

 草刈りや庭木の剪定、冬場の雪下ろし、壁や屋根の修繕など、人が住んでいなくても建物は劣化します。

 特に木造住宅の場合は、放置しておくとシロアリ被害、雨漏り、屋根崩れなどが加速し、近隣トラブルの火種にも。

 「誰も住んでいないのに、どうして手間とお金をかけなきゃいけないの?」という声がよく聞かれますが、手入れを怠るともっと大変なことになるのが現実です。

 

③ 解体費用:壊すのにもお金がかかる

 老朽化した空き家を売ろうとすると、「まず解体してください」と言われることもあります。

 ところがその解体費用が、実はかなり高額なんです。

 

 たとえば、木造2階建ての住宅でも、解体に100万〜200万円ほどかかります。

 「更地にしてからじゃないと売れない」「でも更地にするお金がない」―こうして手詰まりになるパターンが非常に多いのです。

 

④ 売れないリスク:値下げしても買い手がいない 

「売ればいいじゃん」と思っていても、田舎や人口減少地域では、そもそも買い手がいないという現実があります。

 価格をいくら下げても見向きもされず、「タダでもいいから引き取ってほしい」という話が本当にあるのです。

 インターネット上では「0円物件」「無償譲渡」などの情報も出回っていますが、それでも引き取り手がつかないことも…。

「資産=安心」はもはや過去の話?

実際に空き家を相続した人たちからは、こんな声が多く聞かれます。

  • 「最初は“親の家をもらえた”って思ってたけど、現実は苦情と請求書ばかり…」
  • 「固定資産税と草刈り代で年間10万円以上。完全に赤字」
  • 「売りたくても、解体費が用意できない。詰んでる」

 こうして、気づけば「資産ではなく、負債になっていた」という現実に直面するのです。

 ケーススタディ

:郊外の農家住宅が“負の遺産”に

 山形市の郊外で農家住宅を相続したAさん。

 本人は都内在住で、家に通うことも住むこともできませんでした。

 放置していたところ、雑草は腰の高さまで伸び、近隣住民から「害虫が出て困る」と苦情が届きます。

 

 やむなく地元の業者に草刈りを依頼。1回で数万円の費用がかかり、年に2〜3回頼むと固定資産税以上の出費に。

 その上、家は古くて傷んでいて、「売るには解体が必要」と不動産業者に言われます。

 「売れない・貸せない・壊せない」。

 まさに典型的な“負動産スパイラル”に陥ってしまったのです。

まとめ

:空き家は「全員の課題」

 

 

 

 空き家は、「明日、自分の問題になるかもしれない課題」です。

 「資産か? 負担か?」その分かれ目は、早めの話し合いと判断にかかっています。