固定資産税・維持管理費をどう考えるか?
空き家を相続すると、多くの人が最初に悩むのが「お金の問題」です。
特に、「住んでいないのにお金がかかる」
―これが、空き家特有の厄介さです。
中でもよく名前が出てくるのが、固定資産税と維持管理費。
これらは“住んでいなくても毎年発生するランニングコスト”です。
油断して放置すると、気づかないうちにじわじわ家計を圧迫し、「持っているだけで赤字になる」なんてことにもなりかねません。
固定資産税は「何もしなくても確実に請求がくる」
固定資産税とは、土地や建物などの不動産を持っている人に課される地方税です。
毎年1月1日時点の登記上の所有者に対して課税される仕組みなので、親が亡くなった年の翌年からは、相続人が納税の義務を負うことになります。
「まだ名義変更してないから大丈夫」と思っている人もいますが、実は名義変更がなくても納税通知書はちゃんと届きます(登記簿を更新していなくても、住民票や住所以降で市役所は把握しています)。
そして問題はその金額。
「空き家なんだから、そんなに税金もかからないでしょ?」と思いきや、たとえば山形市内で100坪の宅地を相続した場合、年間10万円以上かかることもざらにあります。
建物の評価額が低くても、土地の面積や立地によっては負担がずっしり。
「何も使っていないのに、毎年10万円以上払わされるの!?」と、驚く相続人も少なくありません。
・維持管理費は「じわじわ効いてくる」存在
空き家の維持には、固定資産税以外にもさまざまなコストがかかります。
たとえば以下のようなもの:
- 草刈り・除雪:
年に2~3回業者に依頼すれば、1回あたり3万~5万円。年間で10万円を超えることも。
- 雨漏り修繕:
屋根や雨どいの修理で、軽く見積もっても数十万円。
- シロアリや害虫駆除:
一度被害が出ると、駆除費用だけで10万円以上かかる場合も。
- 解体費用(いずれ必要になることも):
木造2階建ての解体で、100〜300万円は見ておく必要あり。
最初は「草刈りくらい自分でできるだろう」と思っていても、遠方に住んでいる・高齢になった・時間が取れないなど、徐々に自分での管理が難しくなり、結果的に業者に頼らざるを得なくなるのが現実です。
つまり、空き家は何もしなくても“お金が出ていく仕組み”になっているのです。
「特定空家」に指定されると税金が跳ね上がる
さらに気をつけたいのが、「特定空家」への指定です。
これは、倒壊の恐れがある・衛生上危険・景観を著しく損なう、などの状態になった家に対して、行政が「要注意物件」として指定する制度です。
この指定を受けるとどうなるか?
- 固定資産税の軽減措置(住宅用地特例)が外れる
→ 通常の最大6倍の税額になる可能性あり
さらに、自治体が「このままだと危ない」と判断すれば、行政代執行で解体され、費用が相続人に請求されるということも実際に起きています。
つまり、「ほったらかしておくのが一番高くつく」
―これが空き家問題の怖いところなんです。
じゃあどうすればいいの?
:まずはコストの見える化
空き家を相続したら、まずやるべきことは、ざっくりとした“維持コストの見積もり”を出すことです。
以下のような内容を、紙でもスマホでもいいのでリストアップしてみましょう。
- 年間の固定資産税はいくらか?(市町村からの通知書で確認)
- 草刈り・除雪を頼むといくらかかるか?(業者に問い合わせ)
- 修繕が必要な箇所はどこか?(簡単な点検でOK)
これらを把握したうえで、
「将来、誰かが住む予定があるのか?」
「当面使わないなら、売る?貸す?解体?」
「兄弟姉妹で費用負担はどう分担するか?」
といった判断に早めに移ることが、後悔しないための第一歩です。
ケーススタディ
:年間25万円の“見えない出費”
山形市郊外で母親の家を相続したCさん。
兄弟が3人いましたが、「いま忙しいし、またそのうち集まろう」と遺産分割や家の方針は保留に。
2年後、家は草ぼうぼうで近所から苦情が入り、業者に草刈りを依頼したら1回5万円。
年3回で15万円。
加えて、固定資産税が年間10万円。
合計年間25万円の出費となり、後から売却した際の利益を大きく食いつぶしました。
Cさんは、「家を売る前提なら、最初から維持費を最小限に抑えるよう行動すべきだった」と反省したそうです。
まとめ
:「使っていない家」のお金こそ、先回りで考える
- 空き家は“使っていなくても”コストが発生する
- 固定資産税+維持管理費で、年間20万円以上の出費になることも
- 放置して「特定空家」に指定されると、さらに税額アップのリスクあり
まずは費用の見える化 → 早めに方針を立てることが大切
空き家は“動かすのも手間、放っておくともっと高くつく”存在
「家を持っているだけで安心な時代」はもう終わりつつあります。
使っていない家ほど、「お金の流れ」と「管理の手間」を冷静に見つめていくことが、賢い空き家相続への第一歩です。

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