不動産隠語「未登記建物」─登記簿に載らない“幻の家”の正体
不動産の取引では、土地や建物の「登記簿謄本(登記事項証明書)」を確認するのが基本です。
ところが実際には、登記簿には記載がなく「存在していないことになっている建物」があります。
これが業界でいう 「未登記建物」。見た目は立派な家でも、法的には存在が証明されていない“幻の家”なのです。
未登記建物とは?
未登記建物とは、建築されたにもかかわらず登記がされていない建物のことを指します。
原因として多いのは:
- 建築後に登記申請を忘れていた
- 増築部分だけ未登記
- 農地や調整区域に建てたため、あえて登記を避けた
- 登録免許税や司法書士費用を節約した
つまり「手続きの怠り」から「意図的」まで、理由はさまざまです。
実例:相続で発覚したケース
山形市内で父親が亡くなり、相続登記をしようとした家族。
土地は登記されていましたが、建物が登記簿に存在せず、相続手続きが進みませんでした。
調べてみると、30年前に建てた際に建物登記をしていなかったことが判明。
結果、今から登記を新規申請→相続登記 という二重手間が発生し、時間も費用も余計にかかることになりました。
会話例
B(客):「この家、登記簿に載ってないってどういうことですか?」
S(営業):「未登記建物です。現物はありますが、法的には証明できません」
B(客):「じゃあ売買できないんですか?」
S(営業):「登記を済ませれば売買可能ですが、そのままでは融資がつきません」
デメリット
- 融資がつかない(登記がないと担保にできない)
- 相続や売買の手続きに支障
- 固定資産税の課税漏れがあると、後から追徴される可能性
メリット(割り切った場合)
- 登録免許税や登記費用を節約できる(建築時点のみ)
- 田舎の古民家などでは「地元利用」としてあえて登記しないケースも
活用方法の工夫
- 売却前に登記を済ませる
- 司法書士に依頼して「表題登記」「保存登記」を行う。
- 増築部分だけ登記する
- 未登記部分を後から追加して登記可能。
- 相続時にまとめて登記
- 放置せず、次の世代に引き継ぐ前に手当てする。
他の特殊物件との違い
- 違法建築物件:建物はあるが法令違反
- 再建築不可物件:法律で建替えが禁止
- 未登記建物:存在自体が「法的に記録されていない」
共通点は「安さの裏に理由あり」。未登記の場合は「融資・相続」が最大のネックになります。
成功のポイント
- 契約前に「登記事項証明書」と現物を必ず照合
- 増築や古民家は「未登記」の可能性が高いと心得る
- 相続・売買を考えるなら早めに登記しておく
まとめ─“登記がない”は存在しないのと同じ
未登記建物は、そこに確かに建っているにもかかわらず、法律上は「存在しない建物」とされます。
その結果、売買・相続・融資に大きな制約がかかります。
安さや手軽さに惹かれるのではなく、「登記があるかどうか」を確認するのが不動産取引の第一歩。
建物は「建っているかどうか」よりも「登記されているかどうか」で価値が決まるのです。

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