法人所有物件の管理を別法人へアウトソーシングし、適正管理料を費用化して所得平準化
〜“グループ内委託を正しく使えば、節税+経営安定を両立できる〜
・「管理会社を分ける」と節税になる理由
不動産を複数保有する法人では、経営状況に波が出やすいものです。
ある年度は本業の利益が増え、次の年度は不動産収入が減少。
このような収益の偏りをならすために有効なのが、別法人を設立し、管理業務を委託する方法です。
たとえば、A社(本業法人)が賃貸物件を所有し、B社(不動産管理法人)に建物管理・清掃・入居対応などを委託。
A社はB社に「管理料」を支払い、B社はそれを収入として受け取ります。
A社側では管理料を経費化(損金算入)できるため、法人税負担が減少します。
・仕組み:グループ内で利益を分散させる
A社の利益が増えすぎると、法人税率30%前後がそのままかかります。
しかし、B社へ年間1,000万円の管理料を支払えば
─A社の利益はその分減り、課税所得が圧縮。
一方のB社では、人件費・交通費・オフィス賃料などを経費に計上すれば、残る利益は300万円程度まで抑えられます。
結果として、A社とB社を合計したグループ全体の税負担が軽くなるのです。
つまり、管理料の支払いを通じて「利益の移動」を合法的に行い、課税のバランスを取る(所得平準化)という考え方です。
・実務の効果:本業・不動産の両輪を安定化
このスキームのメリットは、節税だけにとどまりません。
- 経理区分が明確になる(本業利益と不動産利益を分離)
- 資金繰りの調整が柔軟になる(管理料でキャッシュを移動)
- 次世代承継の準備になる(管理法人を後継者名義で設立)
たとえば、不動産管理法人B社を子ども名義で設立すれば、B社に利益を移すことで親族への財産移転を“所得分散で実現できます。
これは贈与ではなく、業務対価の支払いであるため、完全に合法。「節税+承継」の両面から効果的です。
・適正管理料とは? 税務上のボーダーライン
節税効果が高い一方で、最も注意すべきは管理料の金額設定です。
税務上は「適正な対価」であることが大前提。
過大な管理料を計上すると、次のようなリスクがあります:
- 「寄附金」とみなされ損金否認
- 「役員報酬の変形支給」として扱われる
- 「移転価格税制」に準じて修正される(関連会社間取引の場合)
一般的な目安としては、年間家賃収入の3〜5%程度が妥当な水準です。
たとえば年間家賃収入3,000万円なら、管理料は90〜150万円程度が自然。
これを大きく超えると、税務調査で疑義が出やすくなります。
・管理業務の実態を必ず伴わせる
形式的に「委託契約」を結ぶだけでは認められません。
実際に以下のような業務が行われている必要があります。
- 入居者募集、賃貸契約管理
- 家賃集金・滞納督促
- 建物維持・清掃・修繕手配
- 入退去時の立会い・リフォーム手配
さらに、
- 委託契約書(業務内容・報酬額・期間を明記)
- 業務報告書・領収証
- 管理料の銀行振込記録など、第三者に説明できる資料の整備が欠かせません。
・副次効果:経営リスクの分散・金融評価の安定
法人を分けることで、リスク分散の効果もあります。
たとえば、本業法人が赤字でも、不動産管理法人が黒字なら、グループ全体の安定性を金融機関に示せます。
また、将来の不動産売却や再開発の際に、資産・負債を法人単位で切り分けられるのも利点です。
経営上の「見える化」と「安定化」が同時に進むため、単なる節税スキームではなく、企業の持続可能性を高める財務戦略として位置づけられます。
・まとめ
- 管理法人を設立して不動産管理を委託すれば、合法的に利益分散が可能。
- 管理料は家賃収入の3〜5%程度が適正。
- 実際の業務実態・契約書・報告書などを整備することが必須。
- 節税だけでなく、承継・財務安定にも寄与。
- グループ経営としての“見せ方まで設計できるのが上級者の節税。
節税は「線を攻める技術」ではなく、「線の上を歩く技術」です。
不動産管理法人をうまく使えば、税務署に胸を張って説明できる“正統派節税を実現できます。
経営者にとって重要なのは、税金を減らすことより、残る仕組みを作ること。
管理料スキームは、まさにその第一歩と言えるでしょう。

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