· 

暮らす+貸すで、生活費を合法的に経費化する

 住宅併用賃貸物件を法人で所有し、住居部分・賃貸部分を適切に区分して法人費用化

 〜暮らす+貸すで、生活費を合法的に経費化する〜

 

・「自宅兼賃貸」は節税の宝庫

 経営者やオーナーにとって、「自宅」と「投資用不動産」をどう分けて管理するかは永遠のテーマです。

 実は、自宅の一部を賃貸住宅や事務所として活用すれば、法人で所有して経費化しつつ、個人の生活コストも圧縮できる仕組みがつくれます。

 この手法は、通称「住宅併用賃貸型スキーム」。適正に区分しておけば、法人税法上も完全に合法な節税手段です。

 

・仕組み

 :建物を“賃貸部分と“居住部分に分ける

 法人が建物を購入し、そのうちの一部を賃貸住宅、もう一部を役員の社宅・自宅として使用するケースを考えます。

 このとき、床面積の割合に応じて費用を按分することがポイントです。

 たとえば、延床200㎡の建物のうち、

 賃貸住宅:120㎡(60%)

 役員社宅:80㎡(40%)

 の場合、固定資産税・減価償却費・保険料・修繕費などを60%分は法人の賃貸経費、40%分は社宅経費として処理可能です。

 いずれも法人の損金となり、課税所得を圧縮できます。

 

・実際の節税イメージ

 建物価格が6,000万円、耐用年数22年(木造)とすると、年間の減価償却費は約270万円(6,000万円×0.045)。

 賃貸部分60%なら、そのうち162万円が「賃貸事業の経費」として損金化。

 さらに役員社宅部分(40%)については、国税庁通達に基づく社宅規定を設ければ、法人が家賃の大部分を負担し、個人は低額使用料を支払うだけで済みます。

 結果として、

  • 法人は減価償却+社宅費を損金算入
  • 個人は家賃負担を大幅に軽減という二重のメリットが得られます。

 

・副次的メリット:相続・承継にも強い

 住宅併用賃貸物件は、「貸家建付地」として土地評価が下がるため、法人所有にしておけば、株価評価(純資産)を抑える効果も発揮します。

 さらに、法人資産として残すことで、

  •  相続時に不動産を分割しなくて済む
  •  後継者が法人ごと引き継げるといった承継の簡素化にもつながります。

 実際、経営者の自宅兼賃貸物件を法人所有に切り替えた結果、相続税評価額が1,500万円以上下がった例もあります。

 

・注意点①

 :区分の明確化(面積・用途)

 税務上の最大の争点は、「どの部分を賃貸・どの部分を居住とするか」。

 これを曖昧にすると、「実態は自宅利用なのに全額経費化」と見なされ、損金否認リスクが高まります。

 したがって、

  •  建築図面で面積区分を明示
  •  賃貸契約書・入居者名義を明確に区分
  •  社宅使用部分には役員社宅規定を適用という“書類上の線引きが重要です。

・注意点②

 :地代家賃の設定

 役員社宅部分については、国税庁の「役員社宅家賃算定基準」(固定資産税評価額×0.2%+12円×㎡)を基に、個人が適正額を負担している必要があります。

 この基準より著しく低いと、「役員への経済的利益供与(役員賞与)」とされ、損金否認されるおそれがあります

 逆に、基準を満たしていれば完全に合法です。

 

・実務テクニック:経費の3層構造で管理

  1.  共用部分(玄関・廊下など)→ 按分率で処理(例:賃貸60%・居住40%)
  2.  専有部分(各階別)→ 明確に用途を分け、帳簿区分
  3.  共通費用(光熱費・通信費など)→ 使用比率または人数で按分

 この3層で整理しておくと、税務署にも説明が通りやすくなります。

 

・まとめ

  •  法人所有の住宅併用賃貸物件は、按分次第で大幅な節税が可能。
  •  賃貸部分は損金算入、居住部分は社宅経費化ができる。
  •  面積区分・契約書・社宅規程などの整備が必須。
  •  相続・承継にも効果があり、土地評価の圧縮にも寄与。
  •  曖昧な線引きは否認リスク。実態に即した管理が重要。

 経営者の住まいを「会社の資産」に変える

 ─これは決して裏技ではなく、会計上の合理的な構造設計です。

 “住むだけで節税、貸すことで収益という二刀流モデルは、経営の安定と資産形成を同時に叶える最も実践的な方法のひとつです。