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合法と贈与/脱税の境界線を見極める実務ノウハウ

 不動産を法人に移転して相続回避を狙うスキーム

  〜合法と贈与/脱税の境界線を見極める実務ノウハウ〜

 

 個人が保有する土地・建物を「法人名義」に移すと、表面上は個人資産が減り相続税評価が下がるため“相続対策に見える

 ―これが狙いのスキームです。

 しかし、税務上の評価は“名義よりも“実態を重視します。

 実態の裏付けが取れない移転は、贈与税や譲渡益の否認、寄附金認定など大きなリスクを招きます。

 

 仕組み(典型)

  1.  個人(親)が所有する不動産(例:自宅+隣接地)を、既存の親族会社や新設法人に移転(売却または出資)する。
  2.  個人の帳簿上の不動産が消えるため、個人の相続財産が減少 → 相続税評価の圧縮効果を期待する。
  3.  法人側は取得資金を借入・株式払込・受贈などで処理し、将来の賃料収入や売却益を法人で受ける。

「グレー」になるポイント

  対価の有無/合理性:市場価格での売買か、評価を大幅に下回る価格で移すか。

 低すぎると贈与(≒無償譲渡)とみなされる。

  • 資金の実績:個人が代金を受け取ったか、法人が本当に支払ったか(振込や融資実行の有無)。
  • 経済合理性:移転の目的が「節税以外(事業転換、再開発、資金調達)」で説明できるか。
  • 税務上のタイミング:移転後すぐに親族へ株式移転・利益配分を行うと贈与と判断されやすい。

リスク(現場で痛いのはコレ)

  •  贈与税の追徴(評価差額に対する贈与認定)。
  •  売却損益の否認や寄附金認定による追徴。
  •  金融機関の評価低下(個人担保・個人資産が減る)。
  •  取引の無効・民事紛争(親族間の理解不足)。

 安全に近づけるための実務ルール(秘書的チェックリスト)

  •  市場価格の根拠を揃える:鑑定評価書、複数業者の�定、類似事例比較。
  •  対価の実行を証拠で残す:口座振込、貸借対照表の動き、融資契約(必要なら金融機関の関与)。
  •  移転目的の明確化:事業計画書(再開発・賃貸事業化など)を作成し、実行フェーズを示す。
  •  契約書類を厳密に作る:売買契約書、株主間契約、役員会議事録など。
  •  段階的・分散的設計:一気に移さず、段階的売却や時期分散で税務上の悪感情を抑える。
  •  専門家の連携:税理士・弁護士・不動産鑑定士を同時に関与させる(ワンチーム)。
  •  家族合意の記録:説明会資料、同意書。紛争予防に必須。

安全策の代替案(グレー回避)

  •  市場相場での売買+受け取った代金で遺言信託や家族信託を構築。
  •  法人の株式を活用した承継(不動産を最初から法人で購入しておくのが理想)。
  •  暦年贈与/教育資金贈与・相続時精算課税制度の利用など、制度を使った生前分散。
  •  家族信託:不動産の管理運用・承継ルールを柔軟に定められる(税務上の透明性も確保しやすい)。

最後に(実務的なアドバイス)

 魅力的な節税話ほど「一発で片付ける」ことを勧めがちです。

しかし税務は“説明できることが命。

まずは「なぜ法人に移すのか」を1ページで書いてください