法人が不動産を長期リースバックで使用し、使途に応じ損金計上
〜「売って使う」ことで資金・税・信用を一度に整える〜
・リースバックとは?
法人が所有する土地や建物を一度売却し、その後同じ不動産を賃貸(リース)として借り戻す仕組み。
売却益で資金を確保しながら、引き続きその物件を事業で使用できるため、資金繰りと節税を両立できるのが特徴です。
銀行融資が厳しくなる時期や、経営改善の転換期に注目されている“財務リフォーム術とも言えます。
・仕組み:売却+賃貸の二段構え
法人が自社所有の建物を金融機関やリース会社に売却
→ 売却代金を得る(キャッシュ確保)
同時にその物件を長期賃貸契約で借り戻す(リースバック契約)
→ 使用料(賃料)を毎月支払う
この「支払賃料」は損金として経費化可能。
一方、受け取った売却代金は、借入金返済や新規投資に回せます。
つまり、
- 資産を減らしバランスシートを軽く
- 現金を増やしてキャッシュフローを改善
- 賃料で節税効果を得るという三重のメリットが得られます。
・実際の節税効果(試算例)
たとえば、法人が時価1億円の自社ビルをリース会社に売却し、年間賃料800万円(リース料)で10年間の契約を結んだとします。
- 売却代金1億円で金融機関借入を完済(利息負担軽減)
- 毎年の賃料800万円は損金(経費)化 → 法人税30%なら年間240万円の節税効果
- 保有資産を圧縮したことで法人株価評価も下がる(相続税対策効果)
このように、「税・財務・承継」の三拍子がそろいます。
・副次的メリット
:資産流動化+財務健全化
リースバックは単なる“節税ではなく、資産の流動化として企業価値を高めます。
とくに以下のようなケースで効果が大きいです。
- 資金繰りを安定させたい(借入に頼らず資金確保)
- 不動産を保有したまま信用を維持したい
- 事業承継で資産を軽くして株価を下げたい
- 遊休資産を有効活用したい
バランスシート上では「固定資産」→「賃借料支出」に変わるため、資産回転率が上昇し、金融機関の与信評価も改善する効果があります。
・注意点①
:リース料の妥当性
リースバックの節税効果は、あくまでリース料が市場水準であることが前提です。
過大な賃料設定は、税務上「利益移転」「寄附金」とみなされ、損金否認されるリスクがあります。
一般的には「時価総額×5〜8%/年」が相場の安全ライン。
・注意点②
:契約の実態が伴うこと
リース契約書には以下の内容を明記し、実態を伴わせる必要があります。
- 契約期間(10年〜20年など長期であること)
- 所有権は移転済みであること(形式上のリースではない)
- 賃貸料・修繕・保険負担の分担
- 物件返還条件(契約終了後の扱い)
形式だけの「帳簿上リース」では、税務署から否認されるケースも。
特に関連会社間リースは、第三者価格の裏付けが必須です。
・注意点③
:譲渡益への課税とタイミング調整
リースバックで売却した際には、譲渡益(売却価格−簿価)に法人税がかかります。
したがって、含み益が大きい場合は課税のタイミングに注意。
売却時期を調整するか、売却損のある資産と合わせて実行するのが賢明です。
・節税+承継の合わせ技
リースバックを行うと、土地建物は法人資産から外れ、バランスシートが軽くなります。
その結果、株式評価額(=相続税評価)も下がるため、事業承継のタイミングで行うと非常に有効です。
また、売却資金を使って生命保険・退職金積立などの法人節税商品に回すと、資金・税金・承継対策が一気に整うという設計も可能です。
・まとめ
- リースバックは、資産を売却して現金化しつつ使用を続ける仕組み。
- 賃料を損金算入でき、法人税の節税に有効。
- キャッシュフロー改善+株価評価低下で承継対策にも効果。
- 契約の実態(期間・賃料・返還条件)を整備することが不可欠。
- 税務・財務・経営の3視点から設計すれば、極めて有効な合法節税策。
「持つ」ではなく「使い続けながら軽くする」。
これが、令和時代の法人節税の新常識です。
資産を固定化せずに回すことで、税金だけでなく、経営の機動力までも取り戻せます。

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