何気ない捨印のおそろしさと、クレジット会社への対抗策
1. 何気ない「捨印」のおそろしさ
契約書や申請書に押される「捨印」。誤字や日付の訂正を後から簡単にできるようにするためのものですが、これは相手に内容を自由に変える権限を与える行為でもあります。
実際に、不動産契約で捨印を押した結果、「日付の訂正」と称して手付金や支払期日が不利に変更されてしまった例もあります。
賃貸契約書でも家賃額を変更され、気づいたのは引き落とし後だったという事例も。
契約の訂正は、本来、当事者双方が訂正箇所に二重線を引き、訂正印を押す形で行うべきもの。
捨印は便利な反面、範囲が広すぎて危険です。
押す場合は訂正箇所を明記して限定するか、できれば押さないことが安全です。
2. 割賦販売法でクレジット会社にも抗弁できる
悪質な訪問販売や強引な勧誘で高額な商品やサービスを契約してしまい、支払いがクレジット経由だった場合、「販売業者が逃げたらもう無理」とあきらめる人も多いでしょう。
しかし、割賦販売法の「支払停止の抗弁」を使えば、クレジット会社に対しても「この契約は問題があるので支払いを止めます」と主張できます。
使える条件
- 個別信用購入あっせん契約(立替払い)で、金額が4万円以上
- 販売業者に重大な契約違反や不正(虚偽説明、商品の未着・欠陥)がある
- まず業者に解決を求めたが、応じない
手続きの流れ
- 販売業者に改善や契約解除を求める
- 応じない場合、クレジット会社に「支払停止の抗弁申出書」を提出
- 契約書ややり取りの記録を証拠として添付
- クレジット会社が確認し、条件を満たせば支払いが停止
この制度は、販売業者とクレジット会社の提携関係を踏まえ、消費者を守る強力な武器になります。
3. 消費者契約法との違い
消費者契約法は、事業者と消費者の間で結ばれた契約のうち、事業者が重要事項を告げなかったり、事実と異なる説明をしたり、威迫や不当な勧誘を行った場合に、その契約を取り消せる制度です。
割賦販売法が「支払いを止める」手段であるのに対し、消費者契約法は「契約そのものを無効にする」手段といえます。
違いを簡単に言えば、
- 割賦販売法 → クレジット支払いをストップ
- 消費者契約法 → 契約を取り消す
4. クーリングオフ制度との使い分け
クーリングオフは、一定期間内なら無条件で契約を解除できる制度です。
訪問販売なら契約書を受け取ってから8日以内、マルチ商法や内職商法は20日以内など、取引形態によって期間が決まっています。
特徴は「理由不要で解約できる」ことですが、期限を過ぎると使えません。
5. 実践的な順番
もし契約に不安や不備があれば、次の順番で検討しましょう。
- クーリングオフ期間内か確認→ 期限内なら即通知
- 消費者契約法の取消事由に当たるか確認→ 当たれば契約を無効に
- 支払いがクレジット経由なら割賦販売法の抗弁権を行使
まとめ
何気なく押した捨印がトラブルのきっかけになることもあれば、強引な契約で高額なクレジット支払いを背負わされることもあります。
しかし、法律を知っていれば、クーリングオフ・消費者契約法・割賦販売法といった武器で、業者だけでなくクレジット会社にも対抗できます。
契約の場面では
- 「安易に捨印を押さない」
- 「書類ややり取りを必ず残す」
- 「おかしいと思ったらすぐ行動する」
この3つを心に留めておきましょう。

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