種類株式で後継者の自社株評価を下げる
〜議決権や配当権を分けて「支配」と「資産」を分離するスマートな事業承継術〜
事業承継で最も頭を悩ませるのは「自社株の評価が高すぎて相続税が払えない」という現実。
中小企業の多くは、長年の内部留保や不動産保有で純資産が膨らみ、評価額が数千万円〜数億円になるケースも珍しくありません。
この問題を正攻法で解く方法の一つが「種類株式の発行」です。
・種類株式とは?
会社法では、普通株式以外に議決権・配当・譲渡制限などの条件を変更した株式を発行できます。
これを「種類株式」と呼びます。典型例は次の3パターンです。
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種類 |
特徴 |
承継への活用例 |
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議決権制限株式 |
株主総会での議決権を制限 |
後継者に支配権を集中させる |
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配当優先株式 |
配当を優先して受けるが議決権なし |
親族株主の安定収入確保 |
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取得条項付株式 |
会社側が将来買い戻せる |
段階的な株式回収に活用 |
つまり「支配(経営権)」と「価値(経済的利益)」を切り離し、後継者に経営を任せつつ、他の相続人へ経済的公平を保つことができる制度なのです。
・なぜ節税になるのか?
種類株式の中でも「議決権のない株式」や「配当制限株式」は、通常の普通株式よりも市場価値(評価額)が下がるため、後継者が承継する際の相続税・贈与税評価を下げることができます。
たとえば普通株式100株=1億円の会社で、後継者に議決権付株式を30株、他の親族に議決権なし株式を70株発行すれば、後継者株の評価が2〜3割下がるケースもあります。
さらに、配当制限を付けることで実際の経済利益を減らし、相続税評価を合法的に圧縮できるわけです。
・実務での流れ
- 現行定款を確認(種類株式条項があるか)
- 定款変更(株主総会特別決議が必要)
- 株式設計(議決権割合・配当率・取得条項など)
- 登記変更・株主名簿管理人設定
- 税理士・行政書士による評価シミュレーション
※特に「株価評価額に対する影響」を事前に数値試算しておくことが大切です。
金融機関や相続人とのバランスも確認しましょう。
・メリットと留意点
メリット
- 後継者に経営権を集中し、支配構造を明確化
- 株価引下げにより贈与税・相続税の軽減
- 他の親族に経済的利益(配当)を分けられる
- 段階的な承継が可能(取得条項付株式活用)
留意点
- 過度な議決権制限は、税務上「実質支配権の偏り」と見なされる場合あり
- 定款変更・登記費用・顧問士業費用が発生
- 上場を予定している企業では複雑化する恐れ
・実務チェックリスト
- 定款に種類株式発行条項があるか(なければ特別決議)
- 議決権割合を明確化(後継者が50%超維持)
- 税理士による株価試算(配当率・議決権補正反映)
- 家族間で株主構成を共有・合意(トラブル防止)
- 登記・変更届の提出日を議事録と一致させる
・まとめ
種類株式は「会社法の制度」を利用した、極めて安全で実効的な株価コントロール手法です。
相続・承継・経営支配という三つの問題を同時に解決できる万能策といえます。
制度を理解し、定款と議事録を整えれば、税務署からも安心して説明できる“白い節税。

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