オーナー借入金を会社に持たせて株価評価を下げる
〜資金を動かさずに株価をコントロールする、最も実践的な承継対策〜
中小企業オーナーの資産構造を見ていくと、「会社への貸付金(役員借入金)」が相当額に上るケースが少なくありません。
長年、個人資金で設備投資や運転資金を補った結果、会社の貸借対照表には「役員借入金(負債)」が残っている—これはまさに節税のチャンスです。
実はこの「役員借入金」を正しく残す/増やす/承継に活かすことで、自社株の評価を下げる“合法的な財務調整が可能になります。
・仕組み:
会社の負債を増やし、純資産を減らす
非上場会社の株価は、
純資産価額 = 総資産 − 総負債で評価されます。
したがって、役員借入金を会社の負債として明確に計上すれば、総負債が増える
→ 純資産が減る
→ 株価が下がるという自然な流れが生まれます。
つまり、「オーナー借入金を残すこと」が、そのまま株価引下げにつながるのです。
たとえば:
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項目 |
金額 |
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総資産 |
2億円 |
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総負債 |
1億円(うち役員借入金5,000万円) |
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純資産 |
1億円 |
→ この状態で、さらにオーナーが2,000万円を追加貸付すると、総負債1.2億円 → 純資産8,000万円。
結果、株価は約20%下がる計算になります。
・実際の効果:税務的にも完全に合法
役員借入金は、実際の金銭消費貸借契約に基づくものとして扱われる限り、税務上も明確な「会社の負債」として認められます。
また、返済義務があるため、株主(=オーナー)に帰属する“純資産とはみなされません。
これにより、株式の評価基準である純資産法(相続税評価上の会社価値)を圧縮でき、承継時の課税対象額を大きく抑えることができます。
特に事業承継税制(納税猶予制度)と組み合わせると、「低株価で承継 → 猶予で実質無税 → 将来返済で資金回収」という三段構えの節税スキームが成立します。
・注意点:
実在性と契約の整備が命
ただし、形式的に「借入金がある」と主張しても、税務署は実際の資金の動き・契約・返済履歴を徹底的に確認します。
以下の3点を必ず押さえておきましょう。
- 金銭消費貸借契約書を作成(印紙・日付あり)
- 銀行振込で実際に資金移動を行う(現金手渡しは不可)
- 返済条件・利息有無を明確にしておく(ゼロ金利可)
これらを備えれば、税務上の負債として確実に認められます。
・承継時の応用:
借入金をどう扱うか
承継時に、この役員借入金を後継者へ引き継ぐことで、さらに効果的になります。
① オーナー死亡時、役員借入金は「債権」として相続財産になる
② 同時に、会社は「負債」を負っているため、株価評価ではマイナス要素
③ 結果、株価評価は下がり、債権は債務控除で課税対象外にできる
つまり、「相続税評価の引下げ」と「二重課税の回避」を両立できるのです。
・チェックリスト
- 役員借入金の金銭消費貸借契約書があるか
- 実際の振込・返済履歴が残っているか
- 貸付金利や返済計画が合理的か(ゼロでもOK)
- 相続時に「債権」として財産目録に計上しているか
- 税理士が株価評価に反映させているか
・まとめ
オーナー借入金を正しく計上・活用することは、「合法的な負債の活用による株価コントロール」であり、現金を動かさずに評価を下げられる数少ない手段です。
手続きはシンプルでも、効果は非常に大きい。契約書と振込証拠さえ揃えば、税務署にも堂々と説明できる“白い節税です。

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