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保険証券の発見から始まる物語─知らなかった親の生命保険と「3年の時効」

 保険証券の発見から始まる物語─知らなかった親の生命保険と「3年の時効」

 

 ご紹介するのは、50代の会社員Oさんのお話です。

 ある日、実家の片付けをしていたところ、偶然にも亡くなったお父様の生命保険の証券を見つけました。

 生前、お父様から保険に加入していると聞いたことはなく、Oさんもお母様も思わず驚いたそうです。

 しかも、すでにお父様が亡くなってから2年が経過していたため、「今さら請求できるのだろうか」と不安を抱えてご相談に来られました。

 

 保険金請求には「3年の時効」がある

 確認したところ、受取人はお母様で、保険金は500万円。

 調べてみると、保険証券の「約款」には次のような記載がありました。

 「保険金等を請求する権利は、権利を行使できるときから3年間請求がない場合には消滅します」

 つまり、請求期限はお父様が亡くなってから3年間ということ。

 Oさんの場合はまだ2年しか経っていなかったため、無事に保険金を受け取れることになります。

 そのことをお伝えすると、Oさんは大きく安堵の表情を浮かべ、「すぐに保険会社に連絡します!」と前向きに動かれることになりました。

 実際のところ、「保険金請求に時効がある」ということを知っている人は意外に少ないものです。

 さらに、時効を過ぎても必要書類が揃えば支払われるケースもあります。

 ですから「期限が過ぎたからもうダメだ」と決めつけず、必ず保険会社へ連絡することが大切です。

 ちなみに、かんぽ生命では時効が「5年」とされています。

 保険会社ごとに取り決めが異なるため、確認は欠かせません。

 

親の保険加入を調べるには?

 親子といえども、親のお金のことはなかなか聞きづらいものです。

 実際、私が相談を受ける方の多くも「親の保険の有無なんて知らない」という方ばかりです。

 Oさんのように証券を偶然発見すれば話は別ですが、そうでない場合、せっかくの保険が眠ったままになる恐れもあります。

 特に、親が認知症になってしまうと確認がさらに難しくなります。

 まずは、保険会社からの郵便物が届いていないかをチェックしましょう。

 また、通帳の入出金履歴を見れば、保険料の引き落としや保険金の入金が分かる場合もあります。

 それでも不明なときに頼れるのが「生命保険契約照会制度」です。

 生命保険協会に申請すれば、会員約40社に契約の有無を一括で確認してもらえます。 

 利用料は3,000円で、結果は2週間ほどで届きます。

 契約があれば○、なければ×と明示されるため、確実に確認できる仕組みです。

 ただし、共済や少額短期保険は対象外なので、その点は注意が必要です。

 

生前にできる準備

 親子関係が良好であれば、生前に保険証券の所在や契約の有無を確認しておくのが理想です。

 そのうえで「家族(情報)登録制度」を活用しておくと安心です。

 これは、契約者が家族の情報を登録しておく制度で、契約者と連絡が取れない場合、保険会社が登録された家族に確認をしてくれる仕組みです。

 さらに「指定代理請求制度」を利用すれば、契約者が請求できない状況に陥ったときでも、あらかじめ指定された家族が代わりに請求できます。

 高齢の親がいる場合には、こうした制度を事前に設定しておくことで、保険が無駄になるリスクを防げます。

 

iDeCo(個人型確定拠出年金)の死亡一時金にも注意

 生命保険と同様に注意したいのが「iDeCo」です。

 加入者が年金を受け取る前に亡くなった場合、積み立て資産は「死亡一時金」として相続人が受け取れます。

 ただし、ここでも申請が必要で、自動的に振り込まれるわけではありません。

 また税制面では「500万円×法定相続人の数」までが非課税枠として扱われ、一般の相続税の基礎控除枠とは別枠になります。

 ただし、扱いには期限があり、死亡後3年以内なら非課税枠内で処理できますが、それを過ぎると一時所得や相続財産として課税対象になってしまいます。

 

まとめ

 Oさんのケースは幸いにも期限内で、保険金を無事に請求できる見込みでした。

 しかし、この一件から学べるのは「親の保険や資産について事前に確認しておくことの大切さ」です。

 保険は「入っていても知らなければ意味がない」ものです。

 親が元気なうちに確認し、家族で情報を共有しておく。

 これが、万が一のときに慌てず、安心して備えるための第一歩といえるでしょう。