詐害行為取消請求の訴状例と証拠のまとめ方
1. 訴状の基本構造
詐害行為取消請求訴訟は、債務者と財産を受け取った第三者(受益者)の両方を被告にします。
訴状の形式は民事訴訟の一般ルールに従いますが、
「債権が存在する」
「詐害行為があった」
「無資力」
「第三者の悪意」
を明確に記載することがポイントです。
【訴状サンプル(簡略版)】
訴 状
令和○年○月○日
○○地方裁判所 御中
原告 山形市○○町1丁目1番1号
原告氏名 印
被告1 山形市△△町2丁目2番2号
被告氏名(債務者)
被告2 山形市□□町3丁目3番3号
被告氏名(受益者)
【請求の趣旨】
1 被告らが令和○年○月○日付で締結した山形市○○所在の土地建物に関する贈与契約を取り消す。
2 被告2は当該土地建物の所有権移転登記を原告に移転する登記手続きをせよ。
3 訴訟費用は被告らの負担とする。
【請求の原因】
1 原告は被告1に対し、令和○年○月○日、金500万円の貸付を行い、返済期限は令和○年○月○日とした。
2 被告1は返済期日を過ぎても一切返済を行わず、現在も債務が残っている。
3 被告1は令和○年○月○日、自己所有の上記土地建物を被告2に無償で贈与し、その結果、他にめぼしい財産がなくなり、原告の債権回収が不能となった。
4 被告2は被告1の無資力および原告の債権の存在を知っていた。
5 よって、原告は民法424条に基づき、上記贈与契約を取り消し、所有権を原告に戻すよう求める。
添付書類:
・貸付契約書写し
・登記事項証明書
・住民票(当事者の住所確認用)
・証拠説明書2. 証拠のまとめ方
詐害行為取消請求は証拠勝負です。
主張だけでは足りず、実際の書類・記録で裏付ける必要があります。
(1) 債権の存在を証明する
- 貸付契約書・売買契約書・領収書
- 請求書や督促状
- 判決や和解調書(既に債務名義がある場合)
(2) 詐害行為の事実を証明する
- 登記簿謄本(不動産の場合、移転日や権利関係がわかる)
- 車検証や登録簿(動産の場合)
- 銀行取引明細(預金移転の場合)
- 売買契約書や贈与契約書
(3) 無資力を示す証拠
- 財産目録(他に財産がないことを示す)
- 預金残高証明書
- 給与明細(低収入や差押え済み状況を確認)
(4) 第三者の悪意を推測させる証拠
- 親族関係を示す戸籍謄本(親族間譲渡は悪意推定)
- 取引価格と時価の差を示す査定書
- 移転後も債務者が事実上使っている写真や証言
3. 実務の進め方(簡易フロー)
- 証拠収集(登記・契約書・取引記録)
- 内容証明で通知(「詐害行為に当たる可能性がある」と事前警告)
- 訴状提出(債務者+受益者を被告に)
- 裁判で証拠提出・主張立証
- 判決確定後、財産回復手続き(登記移転・差押え)
4. まとめ
詐害行為取消請求は、証拠さえ揃えば非常に強力な手段です。
逆に、証拠不足だと「ただの親族間取引」「市場価格に基づく通常売買」とされ、棄却されるリスクもあります。
重要なのは、財産移転を見つけたらすぐに証拠を確保し、期限内(知ってから2年)に動くこと。
これが回収成功のカギになります。

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