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認知症による“資産凍結”が空き家を増やす。その対策としての「家族信託」

 空き家問題は社会問題であると同時に、「親が高齢になったら誰もが直面する身近な問題」です。

 

・相続した実家が空き家になる
・親が認知症で施設入所し、売却できない
 こうした事態を防ぐ対策として注目されているのが「家族信託」です。

 

■ 認知症による“資産凍結”が空き家を増やす

総務省「平成30年住宅・土地統計調査」
・空き家数 848万9千戸
・空き家率 13.6%(過去最高)

空き家増加の一因が「認知症による資産凍結」です。

  •  所有者が認知症になる
  •  意思能力がないと判断される
  •  売買契約が無効となる可能性
  •  不動産を売却できない

共有名義でも同様
 ・共有者の一人が意思能力を喪失
 ・全員の合意が必要なため売却不能

 高齢者の約2割が認知症になるといわれる中、
 不動産が動かせなくなるリスクは現実的な問題です。 

 

■ 家族信託とは何か

 家族信託は信託法に基づく制度。
 将来の判断能力低下に備え、財産管理を家族に託す仕組みです。

基本構造
  委託者(財産の持ち主)
  受託者(管理する人)
  受益者(利益を受け取る人)

例:空き家の場合
・親(委託者)が
・子(受託者)に管理権限を与え
・親自身を受益者とする

 これにより、認知症発症後でも
 受託者が売却や活用を行えるようになります。

 

■ 空き家対策としての家族信託のメリット

 成年後見制度より自由度が高い

 

 成年後見制度
・財産保護が中心
・投資的活用は原則不可
・後見人が親族とは限らない

 

 家族信託
・委託者の意向を反映可能
・賃貸活用や売却も柔軟
・管理権限を具体的に設計できる

 

空き家を
・賃貸に出す
・売却する
・建替える
などの判断を家族が実行可能になります。

 

 遺言以上の承継設計が可能

家族信託では
 ・一次相続
 ・二次相続
まで指定可能

 遺産分割協議が不要になるケースもあり
 ・相続人間の争い回避
 ・認知症相続人による停滞防止
が期待できます。

 

 倒産隔離機能

信託財産は
・委託者
・受託者
の固有財産と分離されます。

 どちらかが破産しても
 信託財産が差し押さえられることはありません。

 

■ 家族信託の手続きの流れ

① 契約締結
 ・信託財産の範囲
 ・管理方法
 ・目的
 ・受益者
 を明確化

 公正証書化が推奨されます。
 専門家への相談が重要です。

 

 ② 専用口座の開設
 ・信託財産を分別管理
 ・賃貸収入管理に活用

 

 ③ 信託登記
 ・不動産は法務局で受託者名義へ変更
 ・「信託」の登記を付記

 

 ④ 運用開始
登記完了後に実務開始。

 

■ なぜ“事前対策”が重要か

 認知症発症後は
 ・売却不可
 ・活用不可
 ・家族も手出し不能

結果
 ・空き家化
 ・老朽化
 ・固定資産税負担
 ・近隣トラブル

 発症前の契約締結が唯一の有効策です。

 

■ まとめ

 ・認知症は資産凍結を招く
 ・空き家売却不能の大きな要因
 ・家族信託で管理権限を事前移転
 ・成年後見より柔軟
 ・二次相続まで設計可能
 ・倒産隔離機能あり

 空き家問題は「相続後」ではなく「認知症前」に備える時代です。
 不動産をお持ちの方は、元気なうちに家族信託の活用を検討することが、将来の空き家リスクを防ぐ鍵になります。