公的年金受給は、「繰下げは得か?」の前に、必ずやるべきなのが手取りシミュレーションです。
実務で使える考え方を、順番に整理します。
■ 年金手取りシミュレーションの基本構造
① 額面年金額を出す
・65歳受給額
・70歳受給額(+42%)
・75歳受給額(+84%)
まずは「ねんきん定期便」の金額を基準にします。
② 公的年金控除を引く
・年金は雑所得扱いです。
・年齢別の公的年金等控除を差し引きます。
③ 所得税を計算
・課税所得を算出
・累進税率を適用
④ 住民税を計算
・均等割+所得割
自治体により多少差があります。
⑤ 社会保険料を計算
・国民健康保険料 または 後期高齢者医療保険料
・介護保険料(65歳以上)
ここが最大の落とし穴です。
年金が増えると、保険料も比例して上がります。
■ ざっくりイメージ例(単身者)
65歳時点 年金200万円の場合
・税・保険料合計 約25〜35万円
・手取り 約165〜175万円
70歳へ繰下げ(約284万円)
・税・保険料 約50〜70万円
・手取り 約215〜230万円
増加率は42%ではなく
実質30%前後に縮小します。
■ さらに見るべき3つのポイント
① 加給年金の有無
・配偶者がいる場合
年40万円前後の加給が止まるケースあり。
② 働いている場合の在職老齢年金
・収入次第で年金が調整されます。
③ 医療費自己負担割合
・所得区分が上がると
医療費が1割→2割になる可能性もあります。
■ 実務的に重要な判断軸
・何歳まで働く予定か
・持っている金融資産
・持ち家か賃貸か
・健康状態
・配偶者の年金額
単なる損益分岐点では決まりません。
■ シミュレーションの方法
① Excelで自作
・額面
・税率
・保険料率
を入れて可視化
② FP事務所で個別試算
・手取りベース
・長生きリスク
・インフレ前提
③ ねんきんネットで概算確認
■ 結論
年金は「増額率」で判断してはいけません。
見るべきは
生涯総額ではなく
毎年の手取りと生活安定度
です。

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