「うちは大丈夫」は危険?相続争いは“普通の家庭”ほど起こる理由
相続のトラブルというと、「資産家の話」「何千万円・何億円の世界」と思われがちですが、実際の現場ではまったく違います。
むしろ、数百万円〜数千万円程度の“身近な相続”のほうが、深刻な争いに発展するケースが多いのが実情です。
特に山形のように「自宅+預貯金」が中心の家庭では、分け方に悩むケースが非常に多く見られます。
*なぜ庶民の相続ほどモメるのか
理由はシンプルで、「分けにくい財産が多い」からです。
・現金が少なく、不動産の割合が高い
・実家が1つしかなく、分割ができない
・親と同居していた人と、していない人の差が大きい
たとえばよくあるのが次のようなケースです。
・長男は親と同居し介護していた
・次男は遠方に住み関与が少なかった
・遺産は「実家のみ」
この場合、次男が「法定相続分で半分ほしい」と言えば、家を売却するしかなくなり、長男は住む場所を失う可能性があります。
また、
・長男は高卒で働いた
・次男は大学まで進学させてもらった
こうした「過去の不公平感」が、相続時に一気に噴き出すことも珍しくありません。
金額の問題というより、「感情」と「納得感」の問題が大きいのです。
*遺言がないとどうなるか
遺言がない場合、原則として民法の「法定相続分」に従って分けることになります。
・配偶者+子 → 配偶者1/2、子1/2
・子のみ → 全額を子で分割
・配偶者+親 → 配偶者2/3、親1/3
・配偶者+兄弟 → 配偶者3/4、兄弟1/4
一見公平に見えますが、現実にはこれがトラブルの火種になります。
なぜなら、
・不動産はきれいに分けられない
・貢献度(介護など)が反映されない
・家族の事情が考慮されない
という問題があるためです。
*トラブルを防ぐ一番シンプルな方法
結論から言うと、「遺言を書くこと」です。
遺言があれば、
・誰に何を渡すか明確になる
・不公平感を事前に調整できる
・相続人同士の話し合いを減らせる
たとえば、
・「自宅は長男に相続させる」
・「代わりに長男は次男へ○○万円支払う」
このように書いておくだけで、争いの多くは回避できます。
*自筆証書遺言は意外とハードルが低い
遺言というと難しく感じますが、基本はシンプルです。
・全文を自筆で書く(※財産目録はパソコン可)
・日付を書く
・署名・押印する
これだけで成立します。
さらに、
・何度でも書き直し可能
・最新のものが有効
という柔軟さもあります。
ただし注意点として、
・形式不備で無効になるリスク
・紛失や未発見のリスク
があるため、
・専門家チェック
・法務局の保管制度
の活用は非常に有効です。
*遺留分という「最低限の権利」にも注意
配偶者や子には「遺留分」という権利があります。
つまり、
「まったく財産をもらえないのはおかしい」
と主張できる制度です。
たとえば、
・「全財産を特定の人に渡す」
・「内縁の配偶者に全部渡す」
といった極端な遺言は、逆に争いを招きます。
現実的には、
・一部は自由に分ける
・一部は法定相続分を意識する
このバランスが重要です。
*借金がある場合は「相続放棄」も視野に
相続はプラスの財産だけではなく、借金も引き継ぎます。
そのため、
・借金が多い場合
・保証債務がある場合
には「相続放棄」が有効です。
ただしここにも落とし穴があります。
・自分が放棄 → 次順位に相続が移る
・兄弟 → おじ・おばへと連鎖する
つまり、放棄は「自分だけの問題ではない」のです。
実務では、
・関係者全体での調整
・同時放棄の検討
が極めて重要になります。
まとめ:争いは“事前の一手”で防げる
相続トラブルの多くは、
・知識不足
・準備不足
によって起こります。
逆に言えば、
・遺言を書く
・財産を見える化する
・家族で一度話す
この3つだけでも、大半は防げます。
「うちは大丈夫」と思っているご家庭ほど、実はリスクが潜んでいます。
将来、家族関係を守るためにも、今のうちに一歩だけ動いてみることをおすすめします。

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