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親の家、誰も住まないならどうする? 相続した実家を放置する前に考えたい5つの選択肢

 親の家、誰も住まないならどうする?

 相続した実家を放置する前に考えたい5つの選択肢

 

 親が亡くなって実家を相続したものの、誰も住む予定がない。

 この相談は、今とても増えています。

 特に山形では、親は地元に住み、子どもは仙台や首都圏にいるというご家庭が少なくありません。

 そうすると、相続した家がそのまま空き家になり、「とりあえず今はそのままにしておこう」となりやすいのです。

 

 気持ちとしてはよく分かります。

 思い出のある家ですし、親が亡くなってすぐに「売る」「壊す」とは考えにくいものです。

 ですが、誰も住まない家は、住んでいる家とは違う速さで傷んでいきます。 

 しかも、放っておけば自然に解決することはほとんどありません。

 ですから、実家に誰も住まないと分かった時点で、早めに方向性だけでも考えておくことが大切です。

 

 実例 「まだそのうち考える」で3年たったケース

 たとえば、山形市郊外の実家を兄妹で相続したケースです。

 父が亡くなり、母はすでに他界。

 長男は仙台、長女は東京に住んでいて、どちらも山形へ戻る予定はありませんでした。

 ただ、家には思い出もあり、荷物もそのまま。「今すぐ売るのは気が引ける」「片づけも大変だし、落ち着いたら考えよう」ということで、しばらく空き家のままにしていました。

 

 ところが、数年後に見に行くと、庭木は伸び、雨どいは外れ、雪や風で傷みも進んでいました。

 近所からも「草が伸びている」「空き家のままで心配」と言われるようになり、ようやく動き始めたときには、片づけも修繕も余計な費用がかかる状態になっていました。

 

 このように、空き家は「何もしない」という選択を取っているつもりでも、実際には劣化と負担だけが進んでいきます。

 だからこそ、「住まない」と決まった段階で、次の選択肢を見ておく必要があります。

 

選択肢1 しばらく持ちながら管理する

 すぐに売る決心がつかないなら、まずはきちんと管理しながら持つという選択があります。

 これは決して悪い方法ではありません。

 相続直後は気持ちの整理もつきにくいので、あえて結論を急がず、一定期間は管理だけを続けるという考え方も十分ありえます。

 ただし、「持つ」なら「放置」とは違います。

 換気、通水、郵便物の確認、庭木や草の手入れ、雪への対応、外回りの点検など、最低限の管理は必要です。

 遠方で自分たちができないなら、管理サービスや地元の協力者を考える必要があります。

 つまり、持ち続けるにもコストと手間がかかる、ということです。

 

選択肢2 売却を検討する

 誰も住まない家で、今後も使う予定がないなら、もっとも現実的なのは売却です。

 現金化できれば固定資産税や管理負担から離れられますし、相続人同士でも分けやすくなります。

 ただし、売却は「古くても必ず売れる」というものではありません。

 場所、接道、建物の状態、境界、残置物の量などによって、売れやすさは大きく変わります。

 そのため、感覚で判断するのではなく、まずは査定や現地確認で「いまの市場でどう見られるか」を知ることが大切です。

 また、実家を売るときは、家の中の荷物や仏壇、思い出の品の整理が心理的な壁になりやすいです。

 ですから、売却は単なる不動産の話ではなく、「気持ちの整理」と一緒に進めるものだと考えたほうが現実的です。

 

選択肢3 貸すことを考える

 売ることに抵抗がある場合は、貸すという選択肢もあります。

 特に立地や建物の状態が悪くなければ、賃貸に回すことで空き家のままにしない方法も考えられます。

 ただし、貸す場合は、

・そのまま貸せる状態か

・修繕が必要か

・入居者が見込める地域か

・管理を誰がするか

といった現実的な問題があります。

 

 「家があるから貸せるだろう」と思っても、古い家は修繕費が先にかかることも多いのです。

 ですから、貸すのは「残したい気持ち」がある場合の選択肢としてはありえますが、必ずしも手間の少ない方法ではありません。

 

選択肢4 解体して更地にする

 老朽化が進んでいて危険、再利用も難しい、という場合には解体も選択肢になります。

 見た目がすっきりし、売却しやすくなることもあります。

 ただし、ここで注意したいのは、解体すれば終わりではないことです。

 解体費用がかかるだけでなく、建物がなくなることで固定資産税の負担が上がる場合もあります。

 また、更地にしても必ずすぐ売れるとは限りません。

 

 そのため、解体は「古いから先に壊す」のではなく、建物付きで売るのか壊してから売るのかを比較してから考えたほうが安全です。

 

選択肢5 家族で使い方を決めて残す

 中には、すぐ売ったり貸したりせず、家族の拠点として残すという選択もあります。

 法事のときに集まる家にする、季節ごとに帰る場所として残す、将来の住み替え先として考える、という形です。

 ただし、この場合も大事なのは「誰が管理するのか」をはっきりさせることです。

 皆の実家、皆の思い出、という言い方は聞こえはよいのですが、現実には誰か一人の負担に寄りがちです。

 ですから、残すなら残すで、費用負担や管理の役割を決めておく必要があります。

 

 結局いちばん避けたいのは「何も決めないこと」

 相続した実家に誰も住まない場合、正解は一つではありません。

 売るのがよい家もあれば、貸せる家もありますし、しばらく持つほうがよいケースもあります。

 

 ただ、共通して言えるのは、何も決めないまま放置するのが一番よくないということです。

 空き家は、時間がたつほど傷み、管理が重くなり、家族の話し合いも難しくなります。

 しかも、「そのうち売ればいい」と思っていたのに、状態が悪くなって売りにくくなることもあります。

 

まとめ

 相続した実家に誰も住まない場合には、・管理しながら持つ・売る・貸す・解体する・家族で使い方を決めて残すという選択肢があります。

 どれを選ぶにしても、まず必要なのは、この家を今後どうしたいのか誰が管理するのかどこまで費用をかけられるのかを家族で整理することです。

 実家は、思い出があるからこそ判断が難しいものです。

 けれども、住まない家は、迷っている間にも確実に変化していきます。

 「まだ決められない」と感じるときほど、せめて方向性だけでも早めに話しておくことをおすすめします。

 それが、後で後悔しにくい相続につながります。