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親の農地や山林を相続したらどうなる?

 親の農地や山林を相続したらどうなる?

 宅地と同じ感覚で動くと困りやすい土地の整理ポイント

 

 親が亡くなったあと、実家の宅地だけでなく、畑や田んぼ、山林まで一緒に相続することがあります。

 このとき多くの方が思うのが、「家の土地と同じように名義変更して、必要なら売ればよいのでは」ということです。

 けれども、農地や山林は、普通の宅地と同じ感覚では扱いにくい土地です。 

 相続登記の義務がある点は共通していますが、農地には農地法上の届出、山林には森林法上の届出など、別の手続きが重なることがあります。

 農林水産省は、農地を相続したときは農業委員会への届出が必要だと案内しており、林野庁は森林の土地の所有者になった場合は市町村長への届出が必要だとしています。 

 つまり、相続した農地や山林は、「相続したから自動的に普通の土地として自由に動かせる」わけではありません。

 特に農地は、売買や転用に制限がかかることがあり、山林も所有者届出の対象になるため、まずは「何を相続したのか」を宅地と切り分けて考える必要があります。

 農水省の農地相続ポータルでも、相続の登記と農業委員会への届出はそれぞれ法律上必要な手続だと示されています。 

 

 実例 実家の裏にある畑を「ただの空き地」だと思っていたケース

 山形でもよくあるのが、実家の裏手や少し離れた場所に、親が持っていた畑や山林が残っているケースです。

 長男は仙台、長女は東京に住んでいて、普段はその土地を使っていません。 

 家族の感覚では、「もう耕していないし、空いている土地だから売ればいいだろう」となりがちです。

 しかし、いざ相談してみると、その土地は登記簿上も地目が農地のままで、まず農地として扱う必要があると分かることがあります。

 農地法関係の案内でも、相続などで農地の権利を取得した場合は、法務局の相続登記とは別に農業委員会への届出が必要とされています。 

 このようなケースでは、宅地と同じつもりで話を進めると、途中で「売れない」「すぐ建物が建てられない」「まず届出が必要だった」となりやすいです。 

 山林についても同じで、ただの雑木林だと思っていても、森林法の対象なら、市町村長への届出が必要になることがあります。

 林野庁は、森林の土地の所有者となった方は、所有者となった日から90日以内に市町村長へ届出が必要だと案内しています。 

 

 農地は「相続しただけ」で終わらず、農業委員会への届出が必要です

 農地について最初に押さえたいのは、相続したら農業委員会への届出が必要という点です。

 農林水産省の案内では、相続などによって農地の権利を取得した人は、農地の所在する市町村の農業委員会へ届出をする必要があるとされています。

 

 相続したものの地元を離れていて管理できない場合には、農業委員会が管理の相談や借り手探しの手伝いをすることもあると案内されています。

 しかも、これは法務局での相続登記とは別の話です。

 「登記をしたから終わり」ではなく、農地としての届出も必要になります。 

 農水省の資料では、この届出をしなかった場合、10万円以下の過料が科される可能性があることも示されています。

 つまり、農地は宅地以上に、相続後の最初の整理が大切なのです。 

 

 農地は、すぐ自由に売ったり宅地にしたりしにくいことがあります

 一般の方が一番驚くのは、農地は宅地のようにすぐ自由に売買・活用しにくいという点です。

 相続で取得すること自体には届出で対応する場面がありますが、その後に第三者へ売る、貸す、宅地にする、といった局面では、農地法上の別の手続きや許可が問題になります。

 農水省の農地相続ポータルでも、相続の届出、相続登記、転用、手放したいときの情報が分けて案内されており、相続した後の扱いが単純ではないことが分かります。 

 

 ですから、農地を相続した場合は、すぐ売る前提で考えるより、まず農地としてどういう状態なのかを確認することが重要です。

 耕作する人がいるのか、借り手を探せるのか、今後転用の可能性があるのか。

 こうした点を整理してからでないと、宅地と同じような出口は見えにくいことがあります。

 共有者不明農地に関する農水省の資料でも、相続人の一人が管理しているケースや借り手探しの仕組みが説明されており、農地は「管理と活用」の問題が残りやすいことがうかがえます。

 

 山林は農地ほどではないが、「放っておいてよい土地」ではありません

 山林については、「どうせ使わない山だから、そのままでよいだろう」と考えられがちです。

 けれども、森林の土地を相続した場合には、森林法に基づく所有者届出制度が関係することがあります。

 林野庁は、森林の土地の所有者となった方は、所有者となった日から90日以内に市町村長へ届出が必要だとしています。

 相続の場合は、遺産分割が終わっていなくても、相続開始の日から90日以内に法定相続人の共有物として届出が必要とされる案内も出ています。 

 

 山林は宅地のように毎年目に入る場所ではないため、相続しても存在を忘れられやすいです。

 しかし、いざ境界、管理、伐採、近隣との関係が問題になると、名義や所在の確認から始める必要があります。

 つまり、山林も「使わない=関係ない」ではなく、所有している以上は届出と管理の視点が必要な土地だと考えたほうが安全です。 

 

 まずやっておきたいのは「宅地・農地・山林の仕分け」です

 相続した土地を整理するときは、全部まとめて考えるのではなく、宅地なのか、農地なのか、山林なのかを分けて見ることが大切です。

 地目や利用状況によって、必要な窓口も手続きも変わるからです。

 農水省は農地について農業委員会への届出を、林野庁は森林について市町村長への届出を案内しており、入口がそもそも違います。 

 

 実務では、

・まず相続登記の対象を確認する

・農地なら農業委員会への届出を考える

・山林なら森林法の届出を確認する

・その後に、売る、貸す、残すを考える

 この順番のほうが進めやすいです。

 いきなり「全部いくらで売れるか」から入ると、農地や山林は途中で止まりやすいです。 

 

 まとめ

 相続した農地や山林は、普通の宅地とまったく同じようには扱いません。

 農地は相続登記に加えて農業委員会への届出が必要で、山林も森林法上の所有者届出が必要になることがあります。

 農地はその後の売買や転用でも制限が関わりやすく、山林も放置前提で考えないほうが安全です。 

 

 ですから、相続した土地の整理では、宅地・農地・山林を分けて考えること必要な届出を早めに確認すること売る・残すの判断はその後にすることが大切です。

 山形のように、実家のまわりに畑や山林が一緒についてくるケースでは、家の土地だけ見ていると全体を見落としやすいです。

 「使っていないからただの土地」ではなく、種類ごとにルールが違う土地として整理することが、後で困らない第一歩になります。